ハイクノミカタ阪西敦子

1. 

   お障子の人見硝子や涅槃寺　河野静雲【季語＝涅槃寺（春）】

   お障子の人見硝子や涅槃寺河野静雲(こうの・せいうん)みるみるあたたかくなるこの頃に体も頭もついていかない。そんなときは、旅の本と着物の本と海外探偵ものに戻る。とはいっても、多少は買い物欲の出…

2. 

   東京に居るとの噂冴え返る　佐藤漾人【季語＝冴え返る（春）】

   東京に居るとの噂冴え返る佐藤漾人(さとう・ようじん)今年は…

3. 

   落椿とはとつぜんに華やげる　稲畑汀子【季語＝落椿（春）】

   落椿とはとつぜんに華やげる稲畑汀子(いなはたていこ)　昼も…

4. 

   見てゐたる春のともしびゆらぎけり　池内たけし【季語＝春灯（春）】

   見てゐたる春のともしびゆらぎけり池内たけし(いけうち・たけし)…

5. 

   春雪の一日が長し夜に逢ふ　山田弘子【季語＝春雪（春）】

   春雪の一日が長し夜に逢ふ山田弘子(やまだ・ひろこ)何かの延…

6. 

   早春や松のぼりゆくよその猫　藤田春梢女【季語＝早春（春）】

7. 

   よき椅子にもたれて話す冬籠 池内たけし【季語＝冬籠（冬）】

8. 

   犬去れば次の犬来る鳥総松　大橋越央子【季語＝鳥総松（新年）】

9. 

   左義長のまた一ところ始まりぬ　三木【季語＝左義長（新年）】

10. 

    絵杉戸を転び止まりの手鞠かな 山崎楽堂【季語＝手鞠（新年）】

11. 

    年を以て巨人としたり歩み去る 高浜虚子【季語＝行年（冬）】

12. 

    クリスマス近づく部屋や日の溢れ　深見けん二【季語＝クリスマス（冬）】