ハイクノミカタ
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あきかぜの疾渡る空を仰ぎけり 久保田万太郎【季語=秋風(秋)】
あきかぜの疾渡る空を仰ぎけり久保田万太郎(『久保田万太郎俳句集』2021年)秋風が空を疾走しているのを仰ぎ見ている、という。「疾渡る」には「とわたる」とルビがふってある。しかし「とわたる」は普通、「…
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野分吾が鼻孔を出でて遊ぶかな 永田耕衣【季語=野分(秋)】
野分吾が鼻孔を出でて遊ぶかな)永田耕衣「驢鳴集」(昭和27…
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藁の栓してみちのくの濁酒 山口青邨【季語=濁酒(秋)】
藁の栓してみちのくの濁酒)山口青邨「濁り酒」とは米、米麹、…
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恋ともちがふ紅葉の岸をともにして 飯島晴子【季語=紅葉(秋)】
恋ともちがふ紅葉の岸をともにして飯島晴子(『八頭』)男女間…
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ここまでは来たよとモアイ置いていく 大川博幸
ここまでは来たよとモアイ置いていく大川博幸誰が置いていった…
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犬の仔のすぐにおとなや草の花 広渡敬雄【季語=草の花(秋)】
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鵙の贄太古のごとく夕来ぬ 清原枴童【季語=鵙の贄(秋)】
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自動車も水のひとつや秋の暮 攝津幸彦【季語=秋の暮(秋)】
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嵐の埠頭蹴る油にもまみれ針なき時計 赤尾兜子
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どつさりと菊着せられて切腹す 仙田洋子【季語=菊(秋)】
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月光に夜離れはじまる式部の実 保坂敏子【季語=式部の実(秋)】
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昼ごろより時の感じ既に無くなりて樹立のなかに歩みをとどむ 佐藤佐太郎