ガレット・デ・ロワ
(フランシュ・コンテ風)

Galette des rois franc-comtoise


エピファニー(公現祭)を祝う一月のお菓子、ガレット・デ・ロワ。中に陶器製の「フェーヴ」を入れ、切り分けた時にそれが当たった人が紙の王冠をかぶるという風習については、昨年も書きました。

現在ではいろいろな形のフェーヴがあり蒐集する人も多いのですが、フェーヴ(fève)とは元来そら豆のこと。昔は乾燥そら豆が「当たり」として使われていたのでしょうね。

こちらは、フランシュ・コンテ風のガレット・デ・ロワ。フランシュ・コンテ地方はフランス東部、スイスと国境を接する地域。シュー生地状に鍋で練り上げた生地を、天板に広げて丸く整えただけの素朴なガレットです。オレンジフラワーのエッセンスで香りづけするのが特徴的。

パイ生地にアーモンドクリームの入った一般的なガレット(昨年の投稿をご覧くださいね)はパリを中心とした地域のもので、じつは地方によって、さまざまな違いがあるのですね。たとえば南仏では、ブリオッシュ生地のパンにフルーツの砂糖漬けで飾りつけたものが主流のようです。

どの地方のものにしろ、人が集まって切り分けてこそのガレット・デ・ロワ。
今は家族とも集まりづらく、わが家では今年まだガレット・デ・ロワを食べていません。一人分ずつのサイズに焼いて、それぞれもれなくフェーヴ入り、というのも良いかな?などと思案中です。

みぞれ雪涙にかぎりありにけり  橋本多佳子

季語【霙】【みぞれ】【公現祭】【一月】

*本記事は野崎海芋さんのInstagram( @kaiunozaki )より、ご本人の許可を得て、転載させていただいております。本家インスタもぜひご覧ください。


【執筆者プロフィール】
野崎 海芋(のざき・かいう)
フランス家庭料理教室を主宰。 「澤」俳句会同人、小澤實に師事。平成20年澤新人賞受賞。平成29年第一句集『浮上』上梓。俳人協会会員。



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