カテゴリー:ハイクノミカタ
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隠岐やいま木の芽をかこむ怒濤かな 加藤楸邨【季語=木の芽(春)】
隠岐やいま木の芽をかこむ怒濤かな 加藤楸邨(『雪後の天』1943年 交蘭社) 先週に続き、『昭和俳句作品年表 戦前・戦中篇』(現代俳句協会編、2014年、東京堂)掲載の昭和16年作中…詳細を見る -
雛飾りつゝふと命惜しきかな 星野立子【季語=雛飾り(春)】
雛飾りつゝふと命惜しきかな 星野立子 今日3月3日は雛祭(ひなまつり)。日本において女児の健やかな成長と幸せを祈る、女児をもつ家族にとってはとても重要であり、女児にとっては心弾む楽し…詳細を見る -
引越の最後に子猫仕舞ひけり 未来羽【季語=子猫(春)】
引越の最後に子猫仕舞ひけり 未来羽 人間の引っ越しには当然猫もついてくる。慣れ親しんだ家を去るのは寂しさを伴うものだが、猫にとってはそれどころではないだろう。よく「犬は人につき、猫は…詳細を見る -
軋みつつ花束となるチューリップ 津川絵理子【季語=チューリップ(春)】
軋みつつ花束となるチューリップ 津川絵理子 今日から三月。 ゆっくりと動き出していた春の息吹も、三月に入ると目に見えて感じるようになってくる。木や草が芽吹きはじめ、菫や蒲公英が…詳細を見る -
春雷や刻来り去り遠ざかり 星野立子【季語=春雷(春)】
春雷や刻来り去り遠ざかり 星野立子 どうして春雷というのは、いつも遠くに聞こえるのだろう。手の届かないところで鳴り、なにかをうながすようにして遠ざかる。 春雷や…詳細を見る -
花ミモザ帽子を買ふと言ひ出しぬ 星野麥丘人【季語=花ミモザ(春)】
花ミモザ帽子を買ふと言ひ出しぬ 星野麥丘人 目の端が何かを捉えて、街道の反対側に顔を向けると満開のミモザだった。まだ二月だというのに、芽吹きも遠い街路樹のあいだにパッとその一画だけが…詳細を見る -
九頭龍へ窓開け雛の塵払ふ 森田愛子【季語=雛(春)】
九頭龍へ窓開け雛の塵払ふ 森田愛子(もりたあいこ)()()()()()()())) 月末が週末にかかると、週明けはもう翌月なのだけれど、それが二月のように短い月だと、もうあっという間…詳細を見る -
幻影の春泥に投げ出されし靴 星野立子【季語=春泥(春)】
幻影の春泥に投げ出されし靴 星野立子(『続立子句集第二』1947年 菁柿堂) いまから80年前の1941年2月5日、例の新興俳句弾圧があり、秋元不死男、栗林一石路、嶋田青峰、橋本夢道…詳細を見る -
冴えかへるもののひとつに夜の鼻 加藤楸邨【季語=冴返る(春)】
冴えかへるもののひとつに夜の鼻 加藤楸邨 ニューヨークは2月に入ってから何回も雪になっている。今のところ、2月3日のハイクノミカタにて紹介したグラウンドホッグデーのフィラデルフィア「…詳細を見る -
昼酒に喉焼く天皇誕生日 石川桂郎【季語=天皇誕生日(春)】
昼酒に喉焼く天皇誕生日 石川桂郎 今日は令和になって二度目の天皇誕生日。この名称になったのは戦後のことだから、昭和の4月29日、平成の12月23日についで三代目ということになる。 …詳細を見る -
来て見ればほゝけちらして猫柳 細見綾子【季語=猫柳(春)】
来て見ればほゝけちらして猫柳 細見綾子 今日、2月22日は猫の日。 といってももちろんこれは日本だけのお話。「にゃんにゃんにゃん」の語呂合わせなのだから、当然と言えば当然。 …詳細を見る -
絵葉書の消印は流氷の町 大串章【季語=流氷(春)】
絵葉書の消印は流氷の町 大串章 きのうの東京はとても冷え込み、頭がさむくて目がさめてしまった。ベランダに出てみると、雪がふってもおかしくない空気。でも昼間になると、ちゃんと温度が上が…詳細を見る