ハイクノミカタ | セクト・ポクリット

梅ほつほつ人ごゑ遠きところより　深川正一郎【季語＝梅　（春）】

オリヲンの真下春立つ雪の宿　前田普羅【季語＝春立つ（春）】

胴ぶるひして立春の犬となる　鈴木石夫【季語＝立春（春）】

節分の鬼に金棒てふ菓子も　後藤比奈夫【季語＝節分（冬）】

叱られて目をつぶる猫春隣　久保田万太郎【季語＝春隣（冬）】

さざなみのかがやけるとき鳥の恋　北川美美【季語＝鳥の恋（春）】

温室の空がきれいに区切らるる　飯田晴【季語＝温室（冬）】

藷たべてゐる子に何が好きかと問ふ　京極杞陽【季語＝藷　（秋）】

同じ事を二本のレール思はざる　阿部青鞋

底冷えを閉じ込めてある飴細工　仲田陽子【季語＝底冷（冬）】

ピザーラの届かぬ地域だけ吹雪く　かくた【季語＝吹雪（冬）】

水仙や古鏡の如く花をかかぐ　松本たかし【季語＝水仙（冬）】

枯野から信長の弾くピアノかな　手嶋崖元【季語＝枯野（冬）】

酒庫口のはき替え草履寒造　西山泊雲【季語＝寒造　（冬）】

死なさじと肩つかまるゝ氷の下　寺田京子【季語＝氷（冬）】

天狼やアインシュタインの世紀果つ　有馬朗人【季語＝天狼（冬）】

しばれるとぼつそりニッカウィスキー　依田明倫【季語＝しばれる（冬）】

此木戸や錠のさされて冬の月　其角【季語＝冬の月（冬）】

開墾のはじめは豚とひとつ鍋　依田勉三

宝くじ熊が二階に来る確率　岡野泰輔【季語＝熊（冬）】

ラグビーのジヤケツの色の敵味方　福井圭児【季語＝ラグビー（冬）】

初場所や昔しこ名に寒玉子　百合山羽公【季語＝初場所（冬）】

マフラーの長きが散らす宇宙塵　佐怒賀正美【季語＝マフラー（冬）】

極寒の寝るほかなくて寝鎮まる　西東三鬼【季語＝極寒（冬）】

松過ぎの一日二日水の如　川崎展宏【季語＝松過ぎ（新年）】

コーヒー沸く香りの朝はハットハウスの青さで　古屋翠渓

悲しみもありて松過ぎゆくままに　星野立子【季語＝松過（新年）】

酒醸す色とは白や米その他　中井余花朗

土器に浸みゆく神酒や初詣　高浜年尾【季語＝初詣（新年）】

米国のへそのあたりの去年今年　内村恭子【季語＝去年今年（冬）】

牛日や駅弁を買いディスク買い　木村美智子【季語＝牛日（新年）】

いづくともなき合掌や初御空　中村汀女【季語＝初御空（新年）】

綿虫や愛するために名をつけて　神野紗希【季語＝綿虫（冬）】

初春の船に届ける祝酒　中西夕紀【季語＝初春（新年）】

去年今年貫く棒の如きもの　高浜虚子【季語＝去年今年（冬）】

大年の夜に入る多摩の流れかな　飯田龍太【季語＝大年（冬）】

極月の空青々と追ふものなし　金田咲子【季語＝極月（冬）】

牛乳の膜すくふ節季の金返らず　小野田兼子【季語＝節季（冬）】

数へ日を二人で数へ始めけり　矢野玲奈【季語＝数へ日（冬）】

幾千代も散るは美し明日は三越　攝津幸彦

霜柱ひとはぎくしやくしたるもの　山田真砂年【季語＝霜柱（冬）】

この出遭ひこそクリスマスプレゼント　稲畑汀子【季語＝クリスマス（冬）】

柊を幸多かれと飾りけり　夏目漱石【季語＝クリスマス（冬）】

手袋を出て母の手となりにけり　仲寒蟬【季語＝手袋（冬）】

懐手蹼ありといつてみよ　石原吉郎【季語＝懐手（冬）】

うつくしき羽子板市や買はで過ぐ　高浜虚子【季語＝羽子板市（冬）】

t t t ふいにさざめく子らや秋　鴇田智哉

着ぶくれて田へ行くだけの橋見ゆる　吉田穂津【季語＝着ぶくれ（冬）】

蔓の先出てゐてまろし雪むぐら　野村泊月【季語＝雪むぐら（冬）】

杖上げて枯野の雲を縦に裂く　西東三鬼【季語＝枯野（冬）】

南天のはやくもつけし実のあまた　中川宋淵【季語＝南天の実（冬）】

白息の駿馬かくれもなき曠野　飯田龍太【季語＝白息（冬）】

てつぺんにまたすくひ足す落葉焚　藺草慶子【季語＝落葉焚（冬）】

またわたし、またわたしだ、と雀たち　柳本々々

蓮ほどの枯れぶりなくて男われ　能村登四郎【季語＝枯蓮（冬）】

おでん屋の酒のよしあし言ひたもな　山口誓子【季語＝おでん（冬）】

波冴ゆる流木立たん立たんとす　山口草堂【季語＝冴ゆ（冬）】

雪掻きをしつつハヌカを寿ぎぬ　朗善千津【季語＝雪掻（冬）】

ストーブに貌が崩れていくやうな　岩淵喜代子【季語＝ストーブ（冬）】

大空に伸び傾ける冬木かな　高浜虚子【季語＝冬木（冬）】

しろい小さいお面いっぱい一茶のくに　阿部完市

略図よく書けて忘年会だより能村登四郎【季語＝暖房（冬）】

ストーブに判をもらひに来て待てる　粟津松彩子【季語＝ストーブ（冬）】

はやり風邪下着上着と骨で立つ　村井和一【季語＝流行風邪（冬）】

冬銀河旅鞄より流れ出す　坂本宮尾【季語＝冬銀河（冬）】

印刷工枯野に風を増刷す　能城檀【季語＝枯野（冬）】

あたたかき十一月もすみにけり　中村草田男【季語＝冬の空（冬）】

凩の会場へ行く燕尾服　中田美子【季語＝凩（冬）】

暖房や絵本の熊は家に住み　川島葵【季語＝暖房（冬）】

コーヒーに誘ふ人あり銀杏散る　岩垣子鹿【季語＝銀杏散る（冬）】

水鳥の夕日に染まるとき鳴けり　林原耒井【季語＝水鳥（冬）】

火種棒まつ赤に焼けて感謝祭　陽美保子【季語＝感謝祭（冬）】

馬孕む冬からまつの息赤く　粥川青猿【季語＝冬からまつ（冬）】

いつの間に昼の月出て冬の空　内藤鳴雪【季語＝冬の空（冬）】

アカコアオコクロコ共通海鼠語圏　佐山哲郎【季語＝海鼠（冬）】

冬の鷺一歩の水輪つくりけり　好井由江【季語＝冬の鷺（冬）】

浅草をはづれはづれず酉の市　松岡ひでたか【季語＝酉の市（冬）】

山茶花の弁流れ来る坂路かな　横光利一【季語＝山茶花（冬）】

鴨翔つてみづの輪ふたつ交はりぬ　三島ゆかり【季語＝鴨（冬）】

馬小屋に馬の表札神無月　宮本郁江【季語＝神無月（冬）】

逢へば短日人しれず得ししづけさも　野澤節子【季語＝短日（冬）】

後鳥羽院鳥羽院萩で擲りあふ　佐藤りえ【秋の季語＝萩（冬）】

どんぶりに顔を埋めて暮早し　飯田冬眞【季語＝暮早し（冬）】

いつまでも狐の檻に襟を立て　小泉洋一【季語＝狐（冬）】

さて、どちらへ行かう風がふく　山頭火

とび・からす息合わせ鳴く小六月　城取信平【季語＝小六月（冬）】

人の世に雪降る音の加はりし　伊藤玉枝【季語＝雪（冬）】

冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ　川崎展宏【冬の季語＝冬（冬）】

COVID-19十一月の黒いくれよん　瀬戸正洋【季語＝十一月（冬）】

革靴の光の揃ふ今朝の冬　津川絵理子【季語＝今朝の冬（冬）】

澁柿を食べさせられし口許に　山内山彦【季語＝柿（秋）】

紅葉の色きはまりて風を絶つ　中川宋淵【季語＝紅葉（秋）】

木の中に入れば木の陰秋惜しむ　大西朋【季語＝秋惜しむ（秋）】

真っ黒な鳥が物言う文化の日　出口善子【季語＝文化の日（秋）】

夕づつにまつ毛澄みゆく冬よ来よ　千代田葛彦【季語＝冬隣（秋）】

風へおんがくがことばがそして葬　夏木久

新蕎麦や狐狗狸さんを招きては　藤原月彦【季語＝新蕎麦（秋）】

手を敷いて我も腰掛く十三夜　中村若沙【季語＝十三夜（秋）】

をぎはらにあした花咲きみな殺し　塚本邦雄【季語＝荻（秋）】

真っ白な番の蝶よ秋草に　木村丹乙【季語＝秋草（秋）】

梅ほつほつ人ごゑ遠きところより 深川正一郎【季語＝梅 （春）】

オリヲンの真下春立つ雪の宿 前田普羅【季語＝春立つ（春）】

胴ぶるひして立春の犬となる 鈴木石夫【季語＝立春（春）】

節分の鬼に金棒てふ菓子も 後藤比奈夫【季語＝節分（冬）】

叱られて目をつぶる猫春隣 久保田万太郎【季語＝春隣（冬）】

さざなみのかがやけるとき鳥の恋 北川美美【季語＝鳥の恋（春）】

温室の空がきれいに区切らるる 飯田晴【季語＝温室（冬）】

藷たべてゐる子に何が好きかと問ふ 京極杞陽【季語＝藷 （秋）】

同じ事を二本のレール思はざる 阿部青鞋

底冷えを閉じ込めてある飴細工 仲田陽子【季語＝底冷（冬）】

ピザーラの届かぬ地域だけ吹雪く かくた【季語＝吹雪（冬）】

水仙や古鏡の如く花をかかぐ 松本たかし【季語＝水仙（冬）】

枯野から信長の弾くピアノかな 手嶋崖元【季語＝枯野（冬）】

酒庫口のはき替え草履寒造 西山泊雲【季語＝寒造 （冬）】

死なさじと肩つかまるゝ氷の下 寺田京子【季語＝氷（冬）】

天狼やアインシュタインの世紀果つ 有馬朗人【季語＝天狼（冬）】

しばれるとぼつそりニッカウィスキー 依田明倫【季語＝しばれる（冬）】

此木戸や錠のさされて冬の月 其角【季語＝冬の月（冬）】

開墾のはじめは豚とひとつ鍋 依田勉三

宝くじ熊が二階に来る確率 岡野泰輔【季語＝熊（冬）】

ラグビーのジヤケツの色の敵味方 福井圭児【季語＝ラグビー（冬）】

初場所や昔しこ名に寒玉子 百合山羽公【季語＝初場所（冬）】

マフラーの長きが散らす宇宙塵 佐怒賀正美【季語＝マフラー（冬）】

極寒の寝るほかなくて寝鎮まる 西東三鬼【季語＝極寒（冬）】

松過ぎの一日二日水の如 川崎展宏【季語＝松過ぎ（新年）】

コーヒー沸く香りの朝はハットハウスの青さで 古屋翠渓

悲しみもありて松過ぎゆくままに 星野立子【季語＝松過（新年）】

酒醸す色とは白や米その他 中井余花朗

土器に浸みゆく神酒や初詣 高浜年尾【季語＝初詣（新年）】

米国のへそのあたりの去年今年 内村恭子【季語＝去年今年（冬）】

牛日や駅弁を買いディスク買い 木村美智子【季語＝牛日（新年）】

いづくともなき合掌や初御空 中村汀女【季語＝初御空（新年）】

綿虫や愛するために名をつけて 神野紗希【季語＝綿虫（冬）】

初春の船に届ける祝酒 中西夕紀【季語＝初春（新年）】

去年今年貫く棒の如きもの 高浜虚子【季語＝去年今年（冬）】

大年の夜に入る多摩の流れかな 飯田龍太【季語＝大年（冬）】

極月の空青々と追ふものなし 金田咲子【季語＝極月（冬）】

牛乳の膜すくふ節季の金返らず 小野田兼子【季語＝節季（冬）】

数へ日を二人で数へ始めけり 矢野玲奈【季語＝数へ日（冬）】

幾千代も散るは美し明日は三越 攝津幸彦

霜柱ひとはぎくしやくしたるもの 山田真砂年【季語＝霜柱（冬）】

この出遭ひこそクリスマスプレゼント 稲畑汀子【季語＝クリスマス（冬）】

柊を幸多かれと飾りけり 夏目漱石【季語＝クリスマス（冬）】

手袋を出て母の手となりにけり 仲寒蟬【季語＝手袋（冬）】

懐手蹼ありといつてみよ 石原吉郎【季語＝懐手（冬）】

うつくしき羽子板市や買はで過ぐ 高浜虚子【季語＝羽子板市（冬）】

t t t ふいにさざめく子らや秋 鴇田智哉

着ぶくれて田へ行くだけの橋見ゆる 吉田穂津【季語＝着ぶくれ（冬）】

蔓の先出てゐてまろし雪むぐら 野村泊月【季語＝雪むぐら（冬）】

杖上げて枯野の雲を縦に裂く 西東三鬼【季語＝枯野（冬）】

南天のはやくもつけし実のあまた 中川宋淵【季語＝南天の実（冬）】

白息の駿馬かくれもなき曠野 飯田龍太【季語＝白息（冬）】

てつぺんにまたすくひ足す落葉焚 藺草慶子【季語＝落葉焚（冬）】

またわたし、またわたしだ、と雀たち 柳本々々

蓮ほどの枯れぶりなくて男われ 能村登四郎【季語＝枯蓮（冬）】

おでん屋の酒のよしあし言ひたもな 山口誓子【季語＝おでん（冬）】

波冴ゆる流木立たん立たんとす 山口草堂【季語＝冴ゆ（冬）】

雪掻きをしつつハヌカを寿ぎぬ 朗善千津【季語＝雪掻（冬）】

ストーブに貌が崩れていくやうな 岩淵喜代子【季語＝ストーブ（冬）】

大空に伸び傾ける冬木かな 高浜虚子【季語＝冬木（冬）】

しろい小さいお面いっぱい一茶のくに 阿部完市

略図よく書けて忘年会だより 能村登四郎【季語＝暖房（冬）】

ストーブに判をもらひに来て待てる 粟津松彩子【季語＝ストーブ（冬）】

はやり風邪下着上着と骨で立つ 村井和一【季語＝流行風邪（冬）】

冬銀河旅鞄より流れ出す 坂本宮尾【季語＝冬銀河（冬）】

印刷工枯野に風を増刷す 能城檀【季語＝枯野（冬）】

あたたかき十一月もすみにけり 中村草田男【季語＝冬の空（冬）】

凩の会場へ行く燕尾服 中田美子【季語＝凩（冬）】

暖房や絵本の熊は家に住み 川島葵【季語＝暖房（冬）】

コーヒーに誘ふ人あり銀杏散る 岩垣子鹿【季語＝銀杏散る（冬）】

水鳥の夕日に染まるとき鳴けり 林原耒井【季語＝水鳥（冬）】

火種棒まつ赤に焼けて感謝祭 陽美保子【季語＝感謝祭（冬）】

馬孕む冬からまつの息赤く 粥川青猿【季語＝冬からまつ（冬）】

いつの間に昼の月出て冬の空 内藤鳴雪【季語＝冬の空（冬）】

アカコアオコクロコ共通海鼠語圏 佐山哲郎【季語＝海鼠（冬）】

冬の鷺一歩の水輪つくりけり 好井由江【季語＝冬の鷺（冬）】

浅草をはづれはづれず酉の市 松岡ひでたか【季語＝酉の市（冬）】

山茶花の弁流れ来る坂路かな 横光利一【季語＝山茶花（冬）】

鴨翔つてみづの輪ふたつ交はりぬ 三島ゆかり【季語＝鴨（冬）】

馬小屋に馬の表札神無月 宮本郁江【季語＝神無月（冬）】

梅ほつほつ人ごゑ遠きところより　深川正一郎【季語＝梅　（春）】

オリヲンの真下春立つ雪の宿　前田普羅【季語＝春立つ（春）】

胴ぶるひして立春の犬となる　鈴木石夫【季語＝立春（春）】

節分の鬼に金棒てふ菓子も　後藤比奈夫【季語＝節分（冬）】

叱られて目をつぶる猫春隣　久保田万太郎【季語＝春隣（冬）】

さざなみのかがやけるとき鳥の恋　北川美美【季語＝鳥の恋（春）】

温室の空がきれいに区切らるる　飯田晴【季語＝温室（冬）】

藷たべてゐる子に何が好きかと問ふ　京極杞陽【季語＝藷　（秋）】

同じ事を二本のレール思はざる　阿部青鞋

底冷えを閉じ込めてある飴細工　仲田陽子【季語＝底冷（冬）】

ピザーラの届かぬ地域だけ吹雪く　かくた【季語＝吹雪（冬）】

水仙や古鏡の如く花をかかぐ　松本たかし【季語＝水仙（冬）】

枯野から信長の弾くピアノかな　手嶋崖元【季語＝枯野（冬）】

酒庫口のはき替え草履寒造　西山泊雲【季語＝寒造　（冬）】

死なさじと肩つかまるゝ氷の下　寺田京子【季語＝氷（冬）】

天狼やアインシュタインの世紀果つ　有馬朗人【季語＝天狼（冬）】

しばれるとぼつそりニッカウィスキー　依田明倫【季語＝しばれる（冬）】

此木戸や錠のさされて冬の月　其角【季語＝冬の月（冬）】

開墾のはじめは豚とひとつ鍋　依田勉三

宝くじ熊が二階に来る確率　岡野泰輔【季語＝熊（冬）】

ラグビーのジヤケツの色の敵味方　福井圭児【季語＝ラグビー（冬）】

初場所や昔しこ名に寒玉子　百合山羽公【季語＝初場所（冬）】

マフラーの長きが散らす宇宙塵　佐怒賀正美【季語＝マフラー（冬）】

極寒の寝るほかなくて寝鎮まる　西東三鬼【季語＝極寒（冬）】

松過ぎの一日二日水の如　川崎展宏【季語＝松過ぎ（新年）】

コーヒー沸く香りの朝はハットハウスの青さで　古屋翠渓

悲しみもありて松過ぎゆくままに　星野立子【季語＝松過（新年）】

酒醸す色とは白や米その他　中井余花朗

土器に浸みゆく神酒や初詣　高浜年尾【季語＝初詣（新年）】

米国のへそのあたりの去年今年　内村恭子【季語＝去年今年（冬）】

牛日や駅弁を買いディスク買い　木村美智子【季語＝牛日（新年）】

いづくともなき合掌や初御空　中村汀女【季語＝初御空（新年）】

綿虫や愛するために名をつけて　神野紗希【季語＝綿虫（冬）】

初春の船に届ける祝酒　中西夕紀【季語＝初春（新年）】

去年今年貫く棒の如きもの　高浜虚子【季語＝去年今年（冬）】

大年の夜に入る多摩の流れかな　飯田龍太【季語＝大年（冬）】

極月の空青々と追ふものなし　金田咲子【季語＝極月（冬）】

牛乳の膜すくふ節季の金返らず　小野田兼子【季語＝節季（冬）】

数へ日を二人で数へ始めけり　矢野玲奈【季語＝数へ日（冬）】

幾千代も散るは美し明日は三越　攝津幸彦

霜柱ひとはぎくしやくしたるもの　山田真砂年【季語＝霜柱（冬）】

この出遭ひこそクリスマスプレゼント　稲畑汀子【季語＝クリスマス（冬）】

柊を幸多かれと飾りけり　夏目漱石【季語＝クリスマス（冬）】

手袋を出て母の手となりにけり　仲寒蟬【季語＝手袋（冬）】

懐手蹼ありといつてみよ　石原吉郎【季語＝懐手（冬）】

うつくしき羽子板市や買はで過ぐ　高浜虚子【季語＝羽子板市（冬）】

t t t ふいにさざめく子らや秋　鴇田智哉

着ぶくれて田へ行くだけの橋見ゆる　吉田穂津【季語＝着ぶくれ（冬）】

蔓の先出てゐてまろし雪むぐら　野村泊月【季語＝雪むぐら（冬）】

杖上げて枯野の雲を縦に裂く　西東三鬼【季語＝枯野（冬）】

南天のはやくもつけし実のあまた　中川宋淵【季語＝南天の実（冬）】

白息の駿馬かくれもなき曠野　飯田龍太【季語＝白息（冬）】

てつぺんにまたすくひ足す落葉焚　藺草慶子【季語＝落葉焚（冬）】

またわたし、またわたしだ、と雀たち　柳本々々

蓮ほどの枯れぶりなくて男われ　能村登四郎【季語＝枯蓮（冬）】

おでん屋の酒のよしあし言ひたもな　山口誓子【季語＝おでん（冬）】

波冴ゆる流木立たん立たんとす　山口草堂【季語＝冴ゆ（冬）】

雪掻きをしつつハヌカを寿ぎぬ　朗善千津【季語＝雪掻（冬）】

ストーブに貌が崩れていくやうな　岩淵喜代子【季語＝ストーブ（冬）】

大空に伸び傾ける冬木かな　高浜虚子【季語＝冬木（冬）】

しろい小さいお面いっぱい一茶のくに　阿部完市

略図よく書けて忘年会だより能村登四郎【季語＝暖房（冬）】

ストーブに判をもらひに来て待てる　粟津松彩子【季語＝ストーブ（冬）】

はやり風邪下着上着と骨で立つ　村井和一【季語＝流行風邪（冬）】

冬銀河旅鞄より流れ出す　坂本宮尾【季語＝冬銀河（冬）】

印刷工枯野に風を増刷す　能城檀【季語＝枯野（冬）】

あたたかき十一月もすみにけり　中村草田男【季語＝冬の空（冬）】

凩の会場へ行く燕尾服　中田美子【季語＝凩（冬）】

暖房や絵本の熊は家に住み　川島葵【季語＝暖房（冬）】

コーヒーに誘ふ人あり銀杏散る　岩垣子鹿【季語＝銀杏散る（冬）】

水鳥の夕日に染まるとき鳴けり　林原耒井【季語＝水鳥（冬）】

火種棒まつ赤に焼けて感謝祭　陽美保子【季語＝感謝祭（冬）】

馬孕む冬からまつの息赤く　粥川青猿【季語＝冬からまつ（冬）】

いつの間に昼の月出て冬の空　内藤鳴雪【季語＝冬の空（冬）】

アカコアオコクロコ共通海鼠語圏　佐山哲郎【季語＝海鼠（冬）】

冬の鷺一歩の水輪つくりけり　好井由江【季語＝冬の鷺（冬）】

浅草をはづれはづれず酉の市　松岡ひでたか【季語＝酉の市（冬）】

山茶花の弁流れ来る坂路かな　横光利一【季語＝山茶花（冬）】

鴨翔つてみづの輪ふたつ交はりぬ　三島ゆかり【季語＝鴨（冬）】

馬小屋に馬の表札神無月　宮本郁江【季語＝神無月（冬）】