手袋に切符一人に戻りたる 浅川芳直 人は…
恋にしてわざと敗けたるかるた哉 羅蘇山人…
おほぞらを剝ぎ落したる夕立かな 櫛部天思…
生れたる蝉にみどりの橡世界 田畑美穂女 …
虹の後さづけられたる旅へ発つ) 中村草田…
こぼれたる波止の鮊子掃き捨てる 桑田青虎…
白魚のさかなたること略しけり 中原道夫 …
鎌倉を驚かしたる余寒あり 高濱虚子 やは…
老僧の忘れかけたる茸の城) 小林衹郊 …
大利根にほどけそめたる春の雲) 安東次男…
夕空や日のあたりたる凧一つ 高野素十))…
鳥の恋漣の生れ続けたる 中田尚子)) 近…