たる
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手袋に切符一人に戻りたる 浅川芳直【季語=手袋(冬)】
手袋に切符一人に戻りたる浅川芳直人は一人で生まれ、一人で死んでゆく。人生の大半は家族や仲間と一緒に過ごすが、生涯の始まる前と終わった後は一人なのだ。様々な別れも、もともとは一人だったのだから…
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恋にしてわざと敗けたるかるた哉 羅蘇山人【季語=かるた(新年)】
恋にしてわざと敗けたるかるた哉羅蘇山人(『蘇山人俳句集』)…
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おほぞらを剝ぎ落したる夕立かな 櫛部天思【季語=夕立(夏)】
おほぞらを剝ぎ落したる夕立かな櫛部天思 会社の同僚や古くか…
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生れたる蝉にみどりの橡世界 田畑美穂女【季語=蝉(夏)】
生れたる蝉にみどりの橡世界田畑美穂女 先週、約4年ぶりに上…
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虹の後さづけられたる旅へ発つ 中村草田男【季語=虹(夏)】
虹の後さづけられたる旅へ発つ)中村草田男草田男は『火の島』…
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こぼれたる波止の鮊子掃き捨てる 桑田青虎【季語=鮊子(春)】
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白魚のさかなたること略しけり 中原道夫【季語=白魚(春)】
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鎌倉を驚かしたる余寒あり 高濱虚子【季語=余寒(春)】
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老僧の忘れかけたる茸の城 小林衹郊【季語=茸(秋)】
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大利根にほどけそめたる春の雲 安東次男【季語=春の雲(春)】
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夕空や日のあたりたる凧一つ 高野素十【季語=凧(春)】
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鳥の恋漣の生れ続けたる 中田尚子【季語=鳥の恋(春)】