ハイクノミカタ

虹の後さづけられたる旅へ発つ 中村草田男【季語=虹(夏)】


虹の後さづけられたる旅へ発つ)

中村草田男

草田男は『火の島』(昭和14年/1939)・『萬緑』(昭和16年/1941)の上梓後、昭和21年(1946)45歳で主宰誌「萬緑」を創刊することになるが、それまでの間にいくつもの論争や座談会を繰り広げ、俳壇の中心にいたという事を忘れてはならない。ここで、その歴程を大まかに見ていきたい。

まず初めが、第一句集『長子』の刊行と同年の昭和11年(1936)での「ミヤコ・ホテル論争」である。当時、新興俳句の旗手日野草城が連作「ミヤコ・ホテル」(『俳句研究』昭和10年4月号)を発表したのが発端であった。

けふよりの()と来て泊つる宵の春   草城(「ミヤコ・ホテル」より)

夜半の春なほ処女(をとめ)なる妻と居りぬ

枕辺の春の灯は妻が消しぬ

をみなとはかかるものかも春の闇

薔薇にほふはじめての夜のしらみつつ

妻の額に春の曙はやかりき

麗かな朝の焼麵麭(トースト)はづかしく

湯あがりの素顔したしく春の昼

永き日や相触れし手はふれしまま

失ひしものを憶へり花曇

内容は言わずもがな、妻との初夜を詠んだものだが、これらの作品は多くの賛否両論を巻き起こした。草田男は対等な人格としての男女の結びつきである結婚を冒涜する作品群とみなし、徹底的に非難し、詩人の室生犀星が老人文学化しやすい俳句へ近代化の道を啓くと激賞したことをも批判した。そんな草城と草田男の関係であったが、後年は草城の病床へ草田男が見舞うなど、草田男がいかに草城を同時代の俳人として敬意を持っていたかが伺える。

昭和13年(1938)8月号の「俳句研究」には、渡辺白泉、草田男、佐々木有風、加藤楸邨、西東三鬼、石橋辰之助による座談会「戦争俳句その他」が掲載。日本は昭和6年(1931)の満州侵略に始まり、昭和12年(1937)7月7日には中国へ侵略開始。日中戦争が勃発しており、三鬼たち新興俳句の面々は、「戦火想望俳句」と称し、無季俳句実践の好題材として戦争を選んでいた。草田男は「戦争を単に想像力で一幅の画面に作ってみずにはいられない、という其の実感は、創作動機は正直に言って、どういう時、どういうようにして起るでしょうかね。それが分らないんです」「戦争という事柄は人間としても国民としても我々の関心を強く惹く、けれども体験と実感からいって、関節の結びつきにある前線光景を想像力によってまで、仮に十七音に描き出してみずにはいられないというのは、どういうわけでしょう」と、題材本位の想像戦線俳句を痛烈に批判する。

昭和14年(1939)、第二句集『火の島』が刊行した年でもあるが、「俳句研究」での座談会「新しい俳句の課題」に加藤楸邨、石田波郷、篠原梵と出席(司会・山本健吉)。一種の飽和状態(マンネリズム)にある花鳥諷詠(季題中心)と新興俳句(素材・感覚情緒の新しみ、無季等)を止揚する新しい俳句の志向を、人間の生活からの声としてとらえる点・「俳句に於ける人間の探究」に共通性があるという事を共に確認し、これ以後、「人間探求派」、「人生探求派」という言葉が俳壇に流布する事となった。「季題」「現代の抒情」「思想詩」等といった草田男の本質をつくような議論がなされており、「真実を探求する掴む、というものの而も最後の所で、それは必ず芸の中に生きていなければならない。真実を索めつつ、しかもそれが究極の意味で『芸』でなければならない。ここが実に難しいところだとおもうんですけれども……」という部分は草田男の永遠の課題でもあるだろう。

昭和15年(1940)4月号の「ホトトギス」誌では、高浜虚子、赤星水竹居、富安風生、佐藤漾人、山口青邨、松本たかし、京極杞陽との「あまやかさない座談会」が掲載された。年齢順でいうと草田男、たかし、杞陽といった後輩俳人を甘やかさないということになろうが、実際は「草田男をあまやかさない座談会」であり、先輩俳人が草田男を囲んでの袋だたき状態であった。それまでは草田男の才能に一目を置き、自由にさせておいた虚子も、花鳥諷詠からの離脱とともに、反ホトトギスである「馬酔木」の楸邨や波郷と人間探究という新しい流れを作っていくことを放任しておくわけにはいかなくなったという事であろう。青邨、風生など先輩俳人からの激しい非難に対し、草田男は屈することなく堂々と闘ってはいたが、やはり勝ち目はなかった。

その後の同年10月号の「俳句研究」では、松本たかし、川端茅舎との三者による「あまやかした座談会」(司会の山本健吉が命名)を行っているのも面白い。内容はいわば当たり障りのない雑談ではあったが、随所に俳句性や俳句的純粋というテーマを論じて興味深い。そして、この座談会を最後に草田男は、戦中の沈黙期に入っていくが、戦後になると加藤楸邨との「戦争責任論争」を皮切りにあっさりとその沈黙を脱ぎ、桑原武夫との「第二芸術論争」、金子兜太との「前衛論争」など、総合誌を中心に幾多の論争を繰り広げ、俳壇の中心に返り咲くことになる。

 ☆

戦後、主宰誌「萬緑」を創刊し、その翌年の昭和22年(1947)に第四句集「来し方行方」、それから更に6年後の昭和28年(1953)に第五句集「銀河依然」を刊行するが、前述で見てきた通り論客で知られた草田男は、その二つの句集の中で、思想性、社会性への関心を強めるとともに、伝統の必然性を継承しつつ写実の近代化を強調し、単元写生からさらに、季題を中心として作者の内部生命の表現へと向かう複合的な写生へと指針を示した。これを草田男は、「実在としての季題を透して顕現する自然の生命と、自己の生命とを融合せしめようとする純粋素朴なる写生の態度」とした。

そして、「私はしばしば原野の中に身を置いていたにもかかわらず、自然に触発され誘発されて、必然的な衝迫におしたてられるままに、『人生句』『思想句』とでもいえる範疇の句を生んだことはしばしばであった」と語る。つまり、草田男の思想句、社会性俳句は、例えば「蟾蜍長子家去る由もなし」や前回紹介した「妻のみ恋し紅き蟹などを歎かめや」という句をとってみても、季題は作者の思想や主義を伝えるためのアレゴリー(寓意的観念)ではなく、季題と実際に出会ったときの感動やおどろきから触発されて生み出された具体的なイデア(観念)であると言っていいだろう。

だからこそ草田男は、「作品以前、創作以前の平生の作者の内的外的の生活実感こそが一番に重要なようであり問題なのである」と語る。日常の不断に培われた生活実感があってこそ、アレゴリーに陥らず、作為を超越した詩として誕生するのである。第一句集『長子』から孕んでいる思想性、思想句あるいは「人間探究派」としての一つの特徴を為すであろうこの課題は、第四句集『来し方行方』で大きな高まりを迎え、晩年にまでその探究は続けられた。

『来し方行方』『銀河依然』は、草田男のその自然との彼我融合的な対面、そしてそれに波及して次々と広がっていく感動を汲み取っていく群作がいくつも見られ、大きな特徴の一つになっている。それは意図的に群作を作り上げていくという作業ではなく、やはり大自然(季語)との対面による感動、驚きがいわば噴湧という形で、その場その場で句を作り上げてしまう結果に過ぎないのであろう。

代表的な群作でいうと、「青露変」「騎士」「旅一歩」「秋雲離々」「無絃の楽」(『来し方行方』)、「踊」「指頭開花」「白沙青松」「影踏遊」「津軽」(『銀河依然』)等があげられる。中でも「踊」は草田男俳句の逸品である。

上下(かみしも)の夜河原ほのと此所踊り  草田男(『銀河依然』より)

紅袂徒歩(かち)に石踏み踊るなり

行く水に横顔続けや踊の輪

五十路またよきぞと(うた)へ宵踊り

好きたいか好かれるよりも踊歌

()にうなづき手拍ちうなづき踊子等

いつせいに手あげて踊りの身が細る

踊るらめ女泣かせぬ世の来るまで

一句一句のねんごろな写生と感情移入もさることながら、おもむろに世の哀声が響いてきそうなリズムが句群全体で表現され、胸に染み入る。

「旅一歩」「秋雲離々」「指頭開花」「白沙青松」「影踏遊」「津軽」はどれも旅の大作であり、土地土地の自然と人間の営みとの交感が丹念に詠まれている。そしてそのどれもが旅吟というその土地を第三者的(部外者的)な位置で眺めるといった肩ひじ張った趣向ではなく、例えば長野県富士見高原での群作「秋雲離々」での一句、「ひんらりと仔馬西日の閾越しぬ」の「ひんらりと」という措辞のこころ弾みが示しているように、芭蕉さながらの「旅の自在鏡」とも言える土地のふところにすんなりと入っていくこころの闊達さが現れている。そのこころの開かれと共に詠まれた句のすべてが、掲句のあたたかな享受感に包まれていると言っていい。句の説明はもはや不要であろう。そこには自分の意志や主義主張は必要なく、まさに「さづけられたる」如く旅の情感にその身をまかせていけばいいのである。

北杜駿


【執筆者プロフィール】
北杜駿(ほくと・しゅん)
1989年生まれ。千葉県出身。現在は山梨県在住。2019年「森の座」入会、横澤放川に師事。2022年星野立子新人賞受賞。2023年森の座新人賞受賞。「森の座」同人。
Email: shun.hokuto@outlook.com


2020年10月からスタートした「ハイクノミカタ」。【シーズン1】は、月曜=日下野由季→篠崎央子(2021年7月〜)、火曜=鈴木牛後、水曜=月野ぽぽな、木曜=橋本直、金曜=阪西敦子、土曜=太田うさぎ、日曜=小津夜景さんという布陣で毎日、お届けしてきた記録がこちらです↓



【2023年6月の火曜日☆北杜駿のバックナンバー】

>>〔1〕田を植ゑるしづかな音へ出でにけり 中村草田男
>>〔2〕妻のみ恋し紅き蟹などを歎かめや  中村草田男

【2023年6月の水曜日☆古川朋子のバックナンバー】

>>〔6〕妹の手をとり水の香の方へ 小山玄紀
>>〔7〕金魚屋が路地を素通りしてゆきぬ 菖蒲あや

【2023年5月の火曜日☆千野千佳のバックナンバー】

>>〔5〕皮むけばバナナしりりと音すなり 犬星星人
>>〔6〕煮し蕗の透きとほりたり茎の虚  小澤實
>>〔7〕手の甲に子かまきりをり吹きて逃す 土屋幸代
>>〔8〕いつまでも死なぬ金魚と思ひしが 西村麒麟
>>〔9〕夏蝶の口くくくくと蜜に震ふ  堀本裕樹

【2023年5月の水曜日☆古川朋子のバックナンバー】

>>〔1〕遠き屋根に日のあたる春惜しみけり 久保田万太郎
>>〔2〕電車いままつしぐらなり桐の花 星野立子
>>〔3〕葉桜の頃の電車は突つ走る 波多野爽波
>>〔4〕薫風や今メンバー紹介のとこ 佐藤智子
>>〔5〕ハフハフと泳ぎだす蛭ぼく音痴 池禎章

【2023年4月の火曜日☆千野千佳のバックナンバー】

>>〔1〕春風にこぼれて赤し歯磨粉  正岡子規
>>〔2〕菜の花や部屋一室のラジオ局 相子智恵
>>〔3〕生きのよき魚つめたし花蘇芳 津川絵理子
>>〔4〕遠足や眠る先生はじめて見る 斉藤志歩

【2023年4月の水曜日☆山口遼也のバックナンバー】

>>〔6〕赤福の餡べつとりと山雪解 波多野爽波
>>〔7〕眼前にある花の句とその花と 田中裕明
>>〔8〕対岸の比良や比叡や麦青む 対中いずみ
>>〔9〕美しきものに火種と蝶の息 宇佐美魚目

【2023年3月の火曜日☆三倉十月のバックナンバー】

>>〔1〕窓眩し土を知らざるヒヤシンス 神野紗希
>>〔2〕家濡れて重たくなりぬ花辛夷  森賀まり
>>〔3〕菜の花月夜ですよネコが死ぬ夜ですよ 金原まさ子
>>〔4〕不健全図書を世に出しあたたかし 松本てふこ【←三倉十月さんの自選10句付】

【2023年3月の水曜日☆山口遼也のバックナンバー】

>>〔1〕鳥の巣に鳥が入つてゆくところ 波多野爽波
>>〔2〕砂浜の無数の笑窪鳥交る    鍵和田秞子
>>〔3〕大根の花まで飛んでありし下駄 波多野爽波
>>〔4〕カードキー旅寝の春の灯をともす トオイダイスケ
>>〔5〕桜貝長き翼の海の星      波多野爽波

【2023年2月の火曜日☆鈴木総史のバックナンバー】

>>〔6〕立春の零下二十度の吐息   三品吏紀
>>〔7〕背広来る来るジンギスカンを食べに来る 橋本喜夫
>>〔8〕北寄貝桶ゆすぶつて見せにけり 平川靖子
>>〔9〕地吹雪や蝦夷はからくれなゐの島 櫂未知子

【2023年2月の水曜日☆楠本奇蹄のバックナンバー】

>>〔1〕うらみつらみつらつら椿柵の向う 山岸由佳
>>〔2〕忘れゆくはやさで淡雪が乾く   佐々木紺
>>〔3〕雪虫のそつとくらがりそつと口笛 中嶋憲武
>>〔4〕さくら餅たちまち人に戻りけり  渋川京子

【2023年1月の火曜日☆鈴木総史のバックナンバー】

>>〔1〕年迎ふ父に胆石できたまま   島崎寛永
>>〔2〕初燈明背にあかつきの雪の音 髙橋千草
>>〔3〕蝦夷に生まれ金木犀の香を知らず 青山酔鳴
>>〔4〕流氷が繋ぐ北方領土かな   大槻独舟
>>〔5〕湖をこつんとのこし山眠る 松王かをり

【2023年1月の水曜日☆岡田由季のバックナンバー】

>>〔1〕さしあたり坐つてゐるか鵆見て 飯島晴子
>>〔2〕潜り際毬と見えたり鳰     中田剛
>>〔3〕笹鳴きに覚めて朝とも日暮れとも 中村苑子
>>〔4〕血を分けし者の寝息と梟と   遠藤由樹子

【2022年11・12月の火曜日☆赤松佑紀のバックナンバー】

>>〔1〕氷上と氷中同じ木のたましひ 板倉ケンタ
>>〔2〕凍港や旧露の街はありとのみ 山口誓子
>>〔3〕境内のぬかるみ神の発ちしあと 八染藍子
>>〔4〕舌荒れてをり猟銃に油差す 小澤實
>>〔5〕義士の日や途方に暮れて人の中 日原傳
>>〔6〕枯野ゆく最も遠き灯に魅かれ 鷹羽狩行
>>〔7〕胸の炎のボレロは雪をもて消さむ 文挾夫佐恵
>>〔8〕オルゴールめく牧舎にも聖夜の灯 鷹羽狩行
>>〔9〕去年今年詩累々とありにけり  竹下陶子

【2022年11・12月の水曜日☆近江文代のバックナンバー】

>>〔1〕泣きながら白鳥打てば雪がふる 松下カロ
>>〔2〕牡蠣フライ女の腹にて爆発する 大畑等
>>〔3〕誕生日の切符も自動改札に飲まれる 岡田幸生
>>〔4〕雪が降る千人針をご存じか 堀之内千代
>>〔5〕トローチのすつと消えすつと冬の滝 中嶋憲武
>>〔6〕鱶のあらい皿を洗えば皿は海 谷さやん
>>〔7〕橇にゐる母のざらざらしてきたる 宮本佳世乃
>>〔8〕セーターを脱いだかたちがすでに負け 岡野泰輔
>>〔9〕動かない方も温められている   芳賀博子

【2022年10月の火曜日☆太田うさぎ(復活!)のバックナンバー】

>>〔92〕老僧の忘れかけたる茸の城 小林衹郊
>>〔93〕輝きてビラ秋空にまだ高し  西澤春雪
>>〔94〕懐石の芋の葉にのり衣被    平林春子
>>〔95〕ひよんの実や昨日と違ふ風を見て   高橋安芸

【2022年9月の水曜日☆田口茉於のバックナンバー】

>>〔5〕運動会静かな廊下歩きをり  岡田由季
>>〔6〕後の月瑞穂の国の夜なりけり 村上鬼城
>>〔7〕秋冷やチーズに皮膚のやうなもの 小野あらた
>>〔8〕逢えぬなら思いぬ草紅葉にしゃがみ 池田澄子

【2022年9月の火曜日☆岡野泰輔のバックナンバー】

>>〔1〕帰るかな現金を白桃にして    原ゆき
>>〔2〕ビル、がく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、れ なかはられいこ
>>〔3〕サフランもつて迅い太子についてゆく 飯島晴子
>>〔4〕琴墜ちてくる秋天をくらりくらり  金原まさ子

【2022年9月の水曜日☆田口茉於のバックナンバー】

>>〔1〕九月来る鏡の中の無音の樹   津川絵理子
>>〔2〕雨月なり後部座席に人眠らせ    榮猿丸
>>〔3〕秋思かがやくストローを嚙みながら 小川楓子
>>〔4〕いちじくを食べた子供の匂ひとか  鴇田智哉

【2022年6月の火曜日☆杉原祐之のバックナンバー】

>>〔1〕仔馬にも少し荷を付け時鳥    橋本鶏二
>>〔2〕ほととぎす孝君零君ききたまへ  京極杞陽
>>〔3〕いちまいの水田になりて暮れのこり 長谷川素逝
>>〔4〕雲の峰ぬつと東京駅の上     鈴木花蓑

【2022年6月の水曜日☆松野苑子のバックナンバー】

>>〔1〕でで虫の繰り出す肉に後れをとる 飯島晴子
>>〔2〕襖しめて空蟬を吹きくらすかな  飯島晴子
>>〔3〕螢とび疑ひぶかき親の箸     飯島晴子
>>〔4〕十薬の蕊高くわが荒野なり    飯島晴子
>>〔5〕丹田に力を入れて浮いて来い   飯島晴子

【2022年5月の火曜日☆沼尾將之のバックナンバー】

>>〔1〕田螺容れるほどに洗面器が古りし 加倉井秋を
>>〔2〕桐咲ける景色にいつも沼を感ず  加倉井秋を
>>〔3〕葉桜の夜へ手を出すための窓   加倉井秋を
>>〔4〕新綠を描くみどりをまぜてゐる  加倉井秋を
>>〔5〕美校生として征く額の花咲きぬ  加倉井秋を

【2022年5月の水曜日☆木田智美のバックナンバー】

>>〔1〕きりんの子かゞやく草を喰む五月  杉山久子
>>〔2〕甘き花呑みて緋鯉となりしかな   坊城俊樹
>>〔3〕ジェラートを売る青年の空腹よ   安里琉太
>>〔4〕いちごジャム塗れとおもちゃの剣で脅す 神野紗希

【2022年4月の火曜日☆九堂夜想のバックナンバー】

>>〔1〕回廊をのむ回廊のアヴェ・マリア  豊口陽子
>>〔2〕未生以前の石笛までも刎ねる    小野初江
>>〔3〕水鳥の和音に還る手毬唄      吉村毬子
>>〔4〕星老いる日の大蛤を生みぬ     三枝桂子

【2022年4月の水曜日☆大西朋のバックナンバー】

>>〔1〕大利根にほどけそめたる春の雲   安東次男
>>〔2〕回廊をのむ回廊のアヴェ・マリア  豊口陽子
>>〔3〕田に人のゐるやすらぎに春の雲  宇佐美魚目
>>〔4〕鶯や米原の町濡れやすく     加藤喜代子

【2022年3月の火曜日☆松尾清隆のバックナンバー】

>>〔1〕死はいやぞ其きさらぎの二日灸   正岡子規
>>〔2〕菜の花やはつとあかるき町はつれ  正岡子規
>>〔3〕春や昔十五万石の城下哉      正岡子規
>>〔4〕蛤の吐いたやうなる港かな     正岡子規
>>〔5〕おとつさんこんなに花がちつてるよ 正岡子規

【2022年3月の水曜日☆藤本智子のバックナンバー】

>>〔1〕蝌蚪乱れ一大交響楽おこる    野見山朱鳥
>>〔2〕廃墟春日首なきイエス胴なき使徒 野見山朱鳥
>>〔3〕春天の塔上翼なき人等      野見山朱鳥
>>〔4〕春星や言葉の棘はぬけがたし   野見山朱鳥
>>〔5〕春愁は人なき都会魚なき海    野見山朱鳥

【2022年2月の火曜日☆永山智郎のバックナンバー】

>>〔1〕年玉受く何も握れぬ手でありしが  髙柳克弘
>>〔2〕復讐の馬乗りの僕嗤っていた    福田若之
>>〔3〕片蔭の死角から攻め落としけり   兒玉鈴音
>>〔4〕おそろしき一直線の彼方かな     畠山弘

【2022年2月の水曜日☆内村恭子のバックナンバー】

>>〔1〕琅玕や一月沼の横たはり      石田波郷
>>〔2〕ミシン台並びやすめり針供養    石田波郷
>>〔3〕ひざにゐて猫涅槃図に間に合はず  有馬朗人
>>〔4〕仕る手に笛もなし古雛      松本たかし

【2022年1月の火曜日☆菅敦のバックナンバー】

>>〔1〕賀の客の若きあぐらはよかりけり 能村登四郎
>>〔2〕血を血で洗ふ絨毯の吸へる血は   中原道夫
>>〔3〕鉄瓶の音こそ佳けれ雪催      潮田幸司
>>〔4〕嗚呼これは温室独特の匂ひ      田口武

【2022年1月の水曜日☆吉田林檎のバックナンバー】

>>〔1〕水底に届かぬ雪の白さかな    蜂谷一人
>>〔2〕嚔して酒のあらかたこぼれたる  岸本葉子
>>〔3〕呼吸するごとく雪降るヘルシンキ 細谷喨々
>>〔4〕胎動に覚め金色の冬林檎     神野紗希

【2021年12月の火曜日☆小滝肇のバックナンバー】

>>〔1〕柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺    正岡子規
>>〔2〕内装がしばらく見えて昼の火事   岡野泰輔
>>〔3〕なだらかな坂数へ日のとある日の 太田うさぎ
>>〔4〕共にゐてさみしき獣初しぐれ   中町とおと

【2021年12月の水曜日☆川原風人のバックナンバー】

>>〔1〕綿入が似合う淋しいけど似合う    大庭紫逢
>>〔2〕枯葉言ふ「最期とは軽いこの音さ」   林翔
>>〔3〕鏡台や猟銃音の湖心より      藺草慶子
>>〔4〕みな聖樹に吊られてをりぬ羽持てど 堀田季何
>>〔5〕ともかくもくはへし煙草懐手    木下夕爾

【2021年11月の火曜日☆望月清彦のバックナンバー】

>>〔1〕海くれて鴨のこゑほのかに白し      芭蕉
>>〔2〕木枯やたけにかくれてしづまりぬ    芭蕉
>>〔3〕葱白く洗ひたてたるさむさ哉      芭蕉
>>〔4〕埋火もきゆやなみだの烹る音      芭蕉
>>〔5-1〕蝶落ちて大音響の結氷期  富沢赤黄男【前編】
>>〔5-2〕蝶落ちて大音響の結氷期  富沢赤黄男【後編】

【2021年11月の水曜日☆町田無鹿のバックナンバー】

>>〔1〕秋灯机の上の幾山河        吉屋信子
>>〔2〕息ながきパイプオルガン底冷えす 津川絵理子
>>〔3〕後輩の女おでんに泣きじゃくる  加藤又三郎
>>〔4〕未婚一生洗ひし足袋の合掌す    寺田京子

【2021年10月の火曜日☆千々和恵美子のバックナンバー】

>>〔1〕橡の実のつぶて颪や豊前坊     杉田久女
>>〔2〕鶴の来るために大空あけて待つ  後藤比奈夫
>>〔3〕どつさりと菊着せられて切腹す   仙田洋子
>>〔4〕藁の栓してみちのくの濁酒     山口青邨

【2021年10月の水曜日☆小田島渚のバックナンバー】

>>〔1〕秋の川真白な石を拾ひけり   夏目漱石
>>〔2〕稻光 碎カレシモノ ヒシメキアイ 富澤赤黄男
>>〔3〕嵐の埠頭蹴る油にもまみれ針なき時計 赤尾兜子
>>〔4〕野分吾が鼻孔を出でて遊ぶかな   永田耕衣


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】

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