ハイクノミカタ

オルゴールめく牧舎にも聖夜の灯 鷹羽狩行【季語=聖夜(冬)】


オルゴールめく牧舎にも聖夜の灯)

鷹羽狩行

父の影響を受けてギターを弾いていた筆者は、中学2年生に上がり念願のバンドを組んだ。オリジナル曲も演奏したが、最初の頃はコピー曲がメインであった。バンド「ザ・ブルーハーツ」のコピーである。文化祭で先輩達の演奏に影響を受けたことがきっかけであった。「ザ・ブルーハーツ」を文化祭で演奏するバンドは代々受け継がれてきたと噂で聞いた。それならば筆者が受け継ごうと決意を固めた。しかし、筆者らの演奏した文化祭の翌年から受け継がれていったかどうかは不明である。

同級生は「GLAY」や「L’Arc~en~Ciel」等の当時流行していたバンドのコピーが多かった。いわゆるヴィジュアル系と呼ばれるバンドが売れていた時期である。「ザ・ブルーハーツ」は、リアルタイムで聴いていた世代ではない。

世代の方達はテレビ番組「平成名物TV」のコーナーである「三宅裕司のいかすバンド天国」(通称・イカ天)が記憶に残っていることだろう。今でもYouTubeで当時の映像を見ることが出来る。

番組には色々なバンドが出演しているが、その中でも「たま」は個性的なバンドだと感じた。「さよなら人類」は一度耳にするとなかなか忘れられない歌ではないだろうか。遠方の旅先に到着した時などは思わず「着いたー!」と歌中のワンフレーズを叫びたくなる。しかし、筆者としてはアニメ番組「ちびまる子ちゃん」のエンディング曲「あっけにとられた時のうた」の印象が強い。リアルタイムで聴いていた楽曲だからであろう。

「たま」は現在「パスカルズ」というバンドで、ドラマ「凪のお暇」の音楽を担当するなど活躍しているが、そのバンド名「パスカルズ」はフランスのミュージシャン「パスカル・コムラード」から取ったという。

「パスカルズ」も好きであるが、「パスカル・コムラード」は一時期ヘビーローテーションして聴いていた程のめり込んだミュージシャンの一人である。

「パスカル・コムラード」は、「トイポップの元祖」「現代のサティ」とも呼ばれ、トイピアノ・玩具のウクレレ・ストロー等を使用して演奏する。その為これまでに聴いたことのないような新しさを感じるのだ。

草笛のようにストローを吹いて鳴らし、ストロー自体を鋏で切っていくことで音程を変える。ストローが短くなっていく程に音が高くなり、最後には投げ捨ててまた新しいストローを使うなど、見ていても楽しいショーとなっている。

最近、長男が妹の為に玩具のピアノで「ジングル・ベル」を弾くようになった。聖樹の灯から一番遠い場所に隠したプレゼントの存在には気づいていないようだ。

学生時代のクリスマスは、バンドメンバーや音楽仲間とライブハウスで過ごすことが習慣となっていたが、今は子ども達と新しいエンディング曲に変わった「ちびまる子ちゃん」を見ながら灯す小さな聖樹の灯が心を癒やしてくれている。

赤松佑紀


【執筆者プロフィール】
赤松佑紀(あかまつ・ゆうき)
昭和59年福井県生まれ、広島県在住。音響専門学校在学中にCDデビュー。現在はWEBデザイン会社専務取締役。「香雨」同人。俳人協会会員。
平成25年「狩」入会。平成31年「香雨」入会。令和2年同人。第一回「香雨」評論賞エッセイ部門受賞。令和3年第三回「香雨」新雨賞受賞。令和4年第十回俳句四季新人賞受賞。第三回「香雨」評論賞評論部門受賞。


「イカ天」審査員もしていた俳人・平山雄一さんのインタビューもぜひ↓】


2020年10月からスタートした「ハイクノミカタ」。【シーズン1】は、月曜=日下野由季→篠崎央子(2021年7月〜)、火曜=鈴木牛後、水曜=月野ぽぽな、木曜=橋本直、金曜=阪西敦子、土曜=太田うさぎ、日曜=小津夜景さんという布陣で毎日、お届けしてきた記録がこちらです↓



【2022年11月の火曜日☆赤松佑紀のバックナンバー】

>>〔1〕氷上と氷中同じ木のたましひ 板倉ケンタ
>>〔2〕凍港や旧露の街はありとのみ 山口誓子
>>〔3〕境内のぬかるみ神の発ちしあと 八染藍子
>>〔4〕舌荒れてをり猟銃に油差す 小澤實
>>〔5〕義士の日や途方に暮れて人の中 日原傳
>>〔6〕枯野ゆく最も遠き灯に魅かれ 鷹羽狩行
>>〔7〕胸の炎のボレロは雪をもて消さむ 文挾夫佐恵

【2022年11月の水曜日☆近江文代のバックナンバー】

>>〔1〕泣きながら白鳥打てば雪がふる 松下カロ
>>〔2〕牡蠣フライ女の腹にて爆発する 大畑等
>>〔3〕誕生日の切符も自動改札に飲まれる 岡田幸生
>>〔4〕雪が降る千人針をご存じか 堀之内千代
>>〔5〕トローチのすつと消えすつと冬の滝 中嶋憲武
>>〔6〕鱶のあらい皿を洗えば皿は海 谷さやん
>>〔7〕橇にゐる母のざらざらしてきたる 宮本佳世乃

【2022年10月の火曜日☆太田うさぎ(復活!)のバックナンバー】

>>〔92〕老僧の忘れかけたる茸の城 小林衹郊
>>〔93〕輝きてビラ秋空にまだ高し  西澤春雪
>>〔94〕懐石の芋の葉にのり衣被    平林春子
>>〔95〕ひよんの実や昨日と違ふ風を見て   高橋安芸

【2022年9月の水曜日☆田口茉於のバックナンバー】

>>〔5〕運動会静かな廊下歩きをり  岡田由季
>>〔6〕後の月瑞穂の国の夜なりけり 村上鬼城
>>〔7〕秋冷やチーズに皮膚のやうなもの 小野あらた
>>〔8〕逢えぬなら思いぬ草紅葉にしゃがみ 池田澄子

【2022年9月の火曜日☆岡野泰輔のバックナンバー】

>>〔1〕帰るかな現金を白桃にして    原ゆき
>>〔2〕ビル、がく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、れ なかはられいこ
>>〔3〕サフランもつて迅い太子についてゆく 飯島晴子
>>〔4〕琴墜ちてくる秋天をくらりくらり  金原まさ子

【2022年9月の水曜日☆田口茉於のバックナンバー】

>>〔1〕九月来る鏡の中の無音の樹   津川絵理子
>>〔2〕雨月なり後部座席に人眠らせ    榮猿丸
>>〔3〕秋思かがやくストローを嚙みながら 小川楓子
>>〔4〕いちじくを食べた子供の匂ひとか  鴇田智哉

【2022年6月の火曜日☆杉原祐之のバックナンバー】

>>〔1〕仔馬にも少し荷を付け時鳥    橋本鶏二
>>〔2〕ほととぎす孝君零君ききたまへ  京極杞陽
>>〔3〕いちまいの水田になりて暮れのこり 長谷川素逝
>>〔4〕雲の峰ぬつと東京駅の上     鈴木花蓑

【2022年6月の水曜日☆松野苑子のバックナンバー】

>>〔1〕でで虫の繰り出す肉に後れをとる 飯島晴子
>>〔2〕襖しめて空蟬を吹きくらすかな  飯島晴子
>>〔3〕螢とび疑ひぶかき親の箸     飯島晴子
>>〔4〕十薬の蕊高くわが荒野なり    飯島晴子
>>〔5〕丹田に力を入れて浮いて来い   飯島晴子

【2022年5月の火曜日☆沼尾將之のバックナンバー】

>>〔1〕田螺容れるほどに洗面器が古りし 加倉井秋を
>>〔2〕桐咲ける景色にいつも沼を感ず  加倉井秋を
>>〔3〕葉桜の夜へ手を出すための窓   加倉井秋を
>>〔4〕新綠を描くみどりをまぜてゐる  加倉井秋を
>>〔5〕美校生として征く額の花咲きぬ  加倉井秋を

【2022年5月の水曜日☆木田智美のバックナンバー】

>>〔1〕きりんの子かゞやく草を喰む五月  杉山久子
>>〔2〕甘き花呑みて緋鯉となりしかな   坊城俊樹
>>〔3〕ジェラートを売る青年の空腹よ   安里琉太
>>〔4〕いちごジャム塗れとおもちゃの剣で脅す 神野紗希

【2022年4月の火曜日☆九堂夜想のバックナンバー】

>>〔1〕回廊をのむ回廊のアヴェ・マリア  豊口陽子
>>〔2〕未生以前の石笛までも刎ねる    小野初江
>>〔3〕水鳥の和音に還る手毬唄      吉村毬子
>>〔4〕星老いる日の大蛤を生みぬ     三枝桂子

【2022年4月の水曜日☆大西朋のバックナンバー】

>>〔1〕大利根にほどけそめたる春の雲   安東次男
>>〔2〕回廊をのむ回廊のアヴェ・マリア  豊口陽子
>>〔3〕田に人のゐるやすらぎに春の雲  宇佐美魚目
>>〔4〕鶯や米原の町濡れやすく     加藤喜代子

【2022年3月の火曜日☆松尾清隆のバックナンバー】

>>〔1〕死はいやぞ其きさらぎの二日灸   正岡子規
>>〔2〕菜の花やはつとあかるき町はつれ  正岡子規
>>〔3〕春や昔十五万石の城下哉      正岡子規
>>〔4〕蛤の吐いたやうなる港かな     正岡子規
>>〔5〕おとつさんこんなに花がちつてるよ 正岡子規

【2022年3月の水曜日☆藤本智子のバックナンバー】

>>〔1〕蝌蚪乱れ一大交響楽おこる    野見山朱鳥
>>〔2〕廃墟春日首なきイエス胴なき使徒 野見山朱鳥
>>〔3〕春天の塔上翼なき人等      野見山朱鳥
>>〔4〕春星や言葉の棘はぬけがたし   野見山朱鳥
>>〔5〕春愁は人なき都会魚なき海    野見山朱鳥

【2022年2月の火曜日☆永山智郎のバックナンバー】

>>〔1〕年玉受く何も握れぬ手でありしが  髙柳克弘
>>〔2〕復讐の馬乗りの僕嗤っていた    福田若之
>>〔3〕片蔭の死角から攻め落としけり   兒玉鈴音
>>〔4〕おそろしき一直線の彼方かな     畠山弘

【2022年2月の水曜日☆内村恭子のバックナンバー】

>>〔1〕琅玕や一月沼の横たはり      石田波郷
>>〔2〕ミシン台並びやすめり針供養    石田波郷
>>〔3〕ひざにゐて猫涅槃図に間に合はず  有馬朗人
>>〔4〕仕る手に笛もなし古雛      松本たかし

【2022年1月の火曜日☆菅敦のバックナンバー】

>>〔1〕賀の客の若きあぐらはよかりけり 能村登四郎
>>〔2〕血を血で洗ふ絨毯の吸へる血は   中原道夫
>>〔3〕鉄瓶の音こそ佳けれ雪催      潮田幸司
>>〔4〕嗚呼これは温室独特の匂ひ      田口武

【2022年1月の水曜日☆吉田林檎のバックナンバー】

>>〔1〕水底に届かぬ雪の白さかな    蜂谷一人
>>〔2〕嚔して酒のあらかたこぼれたる  岸本葉子
>>〔3〕呼吸するごとく雪降るヘルシンキ 細谷喨々
>>〔4〕胎動に覚め金色の冬林檎     神野紗希

【2021年12月の火曜日☆小滝肇のバックナンバー】

>>〔1〕柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺    正岡子規
>>〔2〕内装がしばらく見えて昼の火事   岡野泰輔
>>〔3〕なだらかな坂数へ日のとある日の 太田うさぎ
>>〔4〕共にゐてさみしき獣初しぐれ   中町とおと

【2021年12月の水曜日☆川原風人のバックナンバー】

>>〔1〕綿入が似合う淋しいけど似合う    大庭紫逢
>>〔2〕枯葉言ふ「最期とは軽いこの音さ」   林翔
>>〔3〕鏡台や猟銃音の湖心より      藺草慶子
>>〔4〕みな聖樹に吊られてをりぬ羽持てど 堀田季何
>>〔5〕ともかくもくはへし煙草懐手    木下夕爾

【2021年11月の火曜日☆望月清彦のバックナンバー】

>>〔1〕海くれて鴨のこゑほのかに白し      芭蕉
>>〔2〕木枯やたけにかくれてしづまりぬ    芭蕉
>>〔3〕葱白く洗ひたてたるさむさ哉      芭蕉
>>〔4〕埋火もきゆやなみだの烹る音      芭蕉
>>〔5-1〕蝶落ちて大音響の結氷期  富沢赤黄男【前編】
>>〔5-2〕蝶落ちて大音響の結氷期  富沢赤黄男【後編】

【2021年11月の水曜日☆町田無鹿のバックナンバー】

>>〔1〕秋灯机の上の幾山河        吉屋信子
>>〔2〕息ながきパイプオルガン底冷えす 津川絵理子
>>〔3〕後輩の女おでんに泣きじゃくる  加藤又三郎
>>〔4〕未婚一生洗ひし足袋の合掌す    寺田京子

【2021年10月の火曜日☆千々和恵美子のバックナンバー】

>>〔1〕橡の実のつぶて颪や豊前坊     杉田久女
>>〔2〕鶴の来るために大空あけて待つ  後藤比奈夫
>>〔3〕どつさりと菊着せられて切腹す   仙田洋子
>>〔4〕藁の栓してみちのくの濁酒     山口青邨

【2021年10月の水曜日☆小田島渚のバックナンバー】

>>〔1〕秋の川真白な石を拾ひけり   夏目漱石
>>〔2〕稻光 碎カレシモノ ヒシメキアイ 富澤赤黄男
>>〔3〕嵐の埠頭蹴る油にもまみれ針なき時計 赤尾兜子
>>〔4〕野分吾が鼻孔を出でて遊ぶかな   永田耕衣


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 天体のみなしづかなる草いきれ 生駒大祐【季語=草いきれ(夏)】
  2. 曳けとこそ綱一本の迎鐘 井上弘美【季語=迎鐘(秋)】
  3. 他人とは自分のひとり残る雪 杉浦圭祐【季語=残る雪(春)】
  4. 買はでもの朝顔市も欠かされず 篠塚しげる【季語=朝顔市(夏)】
  5. マグダラのマリア恋しや芥子の花 有馬朗人【季語=芥子の花(夏)】…
  6. 馴染むとは好きになること味噌雑煮 西村和子【季語=雑煮(新年)】…
  7. 父がまづ走つてみたり風車 矢島渚男【季語=風車(春)】
  8. すうっと蝶ふうっと吐いて解く黙禱 中村晋【季語=蝶(春)】

おすすめ記事

  1. 春惜しみつゝ蝶々におくれゆく   三宅清三郎【季語=春惜む・蝶々(春)】
  2. シゴハイ【第2回】青柳飛(会議通訳)
  3. 波冴ゆる流木立たん立たんとす 山口草堂【季語=冴ゆ(冬)】
  4. 天女より人女がよけれ吾亦紅 森澄雄【季語=吾亦紅(秋)】
  5. セーターを脱いだかたちがすでに負け 岡野泰輔【季語=セーター(冬)】
  6. 後輩のデートに出会ふ四月馬鹿 杉原祐之【季語=四月馬鹿(春)】
  7. 胸元に来し雪虫に胸与ふ 坂本タカ女【季語=雪虫(冬)】
  8. 蝌蚪の紐掬ひて掛けむ汝が首に 林雅樹【季語=蝌蚪(春)】
  9. クリスマスイヴの始る厨房よ    千原草之【季語=クリスマス(冬)】
  10. 【クラファン目標達成記念!】神保町に銀漢亭があったころリターンズ【14】/野村茶鳥(屋根裏バル鱗kokera店主)

Pickup記事

  1. はやり風邪下着上着と骨で立つ 村井和一【季語=流行風邪(冬)】
  2. ぼんやりと夏至を過せり脹脛 佐藤鬼房【季語=夏至(夏)】
  3. 【連載】「ゆれたことば」#5「避難所」千倉由穂
  4. かき氷日本を捨てる話して 橋本直【季語=かき氷(夏)】
  5. 春泥を帰りて猫の深眠り 藤嶋務【季語=春泥(春)】
  6. 【秋の季語】蕎麦の花
  7. 初鰹黒潮を来し尾の緊まり 今瀬一博【季語=初鰹(夏)】
  8. 永き日や相触れし手は触れしまま 日野草城【季語=永き日(春)】
  9. 【春の季語】涅槃図
  10. 名ばかりの垣雲雀野を隔てたり 橋閒石【季語=雲雀野(春)】
PAGE TOP