【夏の季語】涼し

【夏の季語=三夏(5月〜7月)】涼し

温度や湿度が程よくて気持ちがいいこと。連体形は「涼しき」となる。

日常語に近づけた言い回しは「涼しい」(連体形も「涼しい」)。

夏の気温の高い時期であっても、木陰や水の近くは涼を感じることができる。

ただし、俳句において「爽やか」は秋の季語。

また、秋に入ってからの涼しさは「新涼」や「涼新た」などと呼び分ける。


【涼し(上五)】
無人島の天子とならば涼しかろ 夏目漱石
女涼し窓に腰かけ落ちもせず 高濱虚子
涼しやとおもひ涼しとおもひけり 後藤夜半
円涼し長方形も亦涼し 高野素十
行く涼し谷の向うの人も行く 原石鼎

【涼し(中七)】
水底を涼しき風のわたるなり 会津八一
いつの間にがらりと涼しチョコレート 星野立子
どの子にも涼しく風の吹く日かな 飯田龍太
虫たべに来て鳥涼し高山寺 宇佐美魚目
ぬけおちて涼しき一羽千羽鶴 澁谷道
朝早く起きて涼しき橋ありぬ 今井杏太郎
わが恋人涼しチョークの粉がこぼれ 友岡子郷
言ひ値すぐ崩る涼しさなりしかな 中原道夫
山荘の涼しさテレビなきことも 伊藤宇太子
思ひのほか涼し雷門の下 遠藤由樹子

【涼し(下五)】
もろもろの管抜き去つて死者涼し 河野美千代
間を空けて立つデルボーの人涼し 仁平勝
飛ぶ種の大きな翼涼しけれ 田中裕明
あざらしの一人ターンの涼しさよ 橋本直
草も木も人も吹かれてゐて涼し 日下野由季
身支度は誰より早く旅涼し 阪西敦子

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