2026年3月13日、第18回小野市詩歌文学賞(兵庫県小野市=主催)が発表され、俳句部門は大木あまりさん(84)の『山猫座』(ふらんす堂)に決まった。同賞は、前年中に刊行された短歌・俳句に関する文芸作品の中から最も優れたものを顕彰するもの。受賞理由は「宿痾(しゅくあ)に加えコロナ禍の閉塞感や憂鬱と抗いながら、瑞々しい感受世界へ言葉を軽やかに解き放った句集。しなやかで強靭な詩魂(しこん)の成果」(高野ムツオ)。
おめでとうございます。
大木あまりさんの受賞コメントは、以下の通り(小野市のウェブサイトより)。
第十八回小野市詩歌文学賞をいただくことになりありがとうございます。選考委員の先生方、また主催者の方々に心より感謝を申し上げます。角川源義に俳句の指導を受け、源義師が亡くなったとき俳句をやめようと思いました。しかし、今日まで俳句を続けてこられたのは、すぐれた俳句の先輩や友達のお陰です。表現者は栄光から遠い場所でつつましく仕事をする者、と思い俳句を続けてきました。これからも、ささやかなものに目を向け、自然の中で生きることの喜びや悲しみを詠んでいきたいと思います。
大木あまり『山猫座』(ふらんす堂、2025年)
◆第七句集
あとどれだけ俳句を続けられるか分からないが、理想の俳句を追い求めていきたいと思う。(著者)◆収録作品より
囀に割り込む鳩の声さびし
霜の花忘るるために歩きけり
鎌倉の水羊羹と無常観
蟷螂よ答への出せぬものが好き
呼び鈴も核のボタンもあり真冬
冬うららうららというて死にたしよ
呼ばぬのに来る砂色の冬の蝶
凩に吹かれゆくものさやうなら
文旦も月もまんまる美学とは
桂信子と話すごとくに暖かし
鯨くるごとく虚子忌の来たりけり
蛸足の配線と春惜しみけり
