ゴーヤー(茘枝)は秋の季語だが、大胆に、しかもひらがなで、「ごーやーちゃんぷるー」と打ち出した句はめずらしい。しかし、「ときどき人が泣く」とは、いったいどんな状況だろう? 「人は泣く」ではなく「人が泣く」だから、一般的な人間のことを言っているのではないのだ。しかし調理のためにワタをくり抜かれ、どこか虚になってしまったゴーヤの姿は、満たされない人間の心情とどこかしら響きあっている。『此処』(2020)所収。(堀切克洋)
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】
土のこと水のこと聞き苗を買ふ …
浜風のほどよき強さ白子干す 橋…
春の夢魚からもらふ首飾り 井上…
飛んでゐる蝶にいつより蜂の影 …
春惜しみつゝ蝶々におくれゆく …
【春の季語=三春(2〜4月)】…