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【夏の季語】噴水

【ミニ解説】

公園や庭園や広場にある、水を噴き上げる装置です。


【噴水(上五)】
噴水に濡れたる芝をふみにけり 山本京童
噴水をはなれたる人去りにけり 後藤夜半
噴水がパチパチパチパチいうて落つ 京極杞陽
噴水のしぶけり四方に風の街 石田波郷
噴水の影ある白き椅子ひとつ 木下夕爾
噴水や戦後の男指やさし 寺田京子
噴水の翼をたたむ夕べ来る 朝倉和江
大噴水小噴水へ水分かつ 竹中碧水史
噴水にはらわたの無き明るさよ 橋閒石
噴水の向ふにもあるベンチかな 高浜年尾
噴水の内側の水怠けをり  大牧広
噴水や鞍馬天狗の本借りに 吉田汀史
噴水のいただきに水弾ねてをり 落合水尾
噴水をひと巡りして夫を待つ 渡辺花穂
噴水が驛の板前のごと頭あげ 竹中宏
噴水と森の古都コペンハーゲンは 河野静雲
噴水に睡り足らざる男たち 澤好摩
噴水のどこも正面どこも裏 杉阪大和
噴水の背丈を決める会議かな 鳥居真里子
噴水は上り青空下りて来る 三村純也
噴水の頂の水落ちてこず 長谷川櫂
噴水にもたるるところなかりけり 中岡毅雄
噴水の怠ることを宥されず  黛 まどか
噴水の水噴水の上に落つ 今瀬一博
噴水は遠き花壇を濡らしけり 日原傳
噴水の百本噴けば競ひけり 日原傳
噴水の戦ふときと戦ぐとき 藤田直子
噴水が人の代はりに立つてゐる 山田露結
噴水のやはら かさうにもりあがる 江渡華子

【噴水(中七)】
いつまでも見て噴水に疲れをり 深川正一郎
夫の背に噴水の音かはりけり 桂信子
日のかげり来し噴水の力づく 右城暮石
小一時間噴水見たり見なかったり  池田澄子
夜は夜の大噴水のなびき癖 行方克巳
口腔は若し噴水の野獣像 対馬康子
がんばつてゐる噴水の機械かな 岸本尚毅
なさけなき噴水前で待ち合はす 櫂未知子
公園もこの噴水も古りにけり 松尾清隆

【噴水(下五)】
海神の肩どどとうつ噴水は 山口青邨
崩るると見せて噴水立ち上がる  成井侃
永遠のかたちを探している噴水 水口圭子
ソ連の体操少女のような噴水 福田若之


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