【ミニ解説】
冬になると川の水は量が減ってゆき、流れも細くなる。
あたりの草はやがて枯れ尽くし、川原はさびしい感じに。
「冬川」とも。
【冬の川(上五)】
冬の川石飛び渡り越えにけり 正岡子規
冬の川キンキンたればふところで 富澤赤黄男
冬の川仏事おほかたうとましき 飯田龍太
冬の川曲がりしあとは光のみ 仙田洋子
冬の川駅の下へと潜りけり 抜井諒一
【冬の川(中七)】
【冬の川(下五)】
雲絶えて源涸れぬ冬の川 正岡子規
谷深み杉を流すや冬の川 夏目漱石
ときをりは光となれり冬の川 鷲谷七菜子
家の裏ばかり流れて冬の川 細見綾子
地芝居の白塗にそふ冬の川 飯島晴子
野をゆけど野に親しまず冬の川 田中裕明
来歴のやうにいつぽん冬の川 伊藤白潮
人の死にささやくばかり冬の川 石寒太
一枚の布覆ひたる冬の川 山岸由佳