倉田有希の「写真と俳句チャレンジ」【第1回】


倉田有希の

「写真と俳句チャレンジ」


【第1回】

写真と俳句


写真と俳句は似ている。しばし見かけるフレーズです。
写真と俳句をテーマにして、気がつけば十数年になりました。写真俳句が静かなブームと言われつつ、さほど盛り上がっていないのも事実です。

俳句では、1970年からの伊丹三樹彦による写俳運動、それ以前は石田波郷が読売新聞の江東版に連載していた「江東歳時記」がありました。しかし俳句の世界で大きな流れにはなっていません。俳人で写真撮影の好きな人は少なくないと思いますが、コラボレーションとしての創作はごく少数派です。

その一方、誌面で俳句と写真のレイアウトは珍しいものではなく、むしろ両者の共存はいたって普通のことです。様々なテレビ番組でも、たとえば芭蕉の句と映像を重ねる演出はしばし見かけます。そういったものを単にレイアウトとして捉えるか、すこし進んでコラボレーションと考えるか、このあたりに写真と俳句の今後があるように思います。

俳句と写真を考えるとき、俳句と俳画を思えばそれに近い。俳画は歴史が古く、その創始は江戸時代初期の野々口立圃とも言われています。芭蕉やその弟子たち、蕪村や一茶の俳画は知られていますが、江戸時代を通じて、様々な俳人が句と俳画を残しています。江戸時代、俳画は俳句への賛として描かれ、または草絵への賛としての俳句もありました。これは、俳句が先でそれに写真を付ける先俳後写、写真が先でそれに俳句を付ける先写後俳句も似ています。

いま俳人の多くは、写真とのコラボーレーションにさほど関心はなく、意味があるかないかは議論しても仕方がない。個人的には、展示のとき多くの人に楽しんで貰えるように思います。たとえば俳句の展示もしばし見かけますが、短冊や色紙が壁に掛かっていても、俳句をやらない人にはさして面白いものでもない。それが写真と俳句を合わせたものは、鑑賞の幅が一気に広がります。俳句はさっぱりという人でも、写俳を観るのは楽しめます。江戸時代の俳画も、俳人以外も観る楽しみを意図したのかも知れません。

写俳は未経験の人でも、カメラやスマホで撮った写真と俳句を合わせてみると面白いですよ。
俳画がそうであったように「賛」として考えると判りやすい。葉書にしてお友達に送ればきっと喜んで頂けます。

このたびセクト・ポクリットにページを頂いて書くことになりました。常々考えている以下の内容についても触れていきたいと思います。

 石田波郷の俳句と写真

 写俳亭、伊丹三樹彦

 様々な呼称の乱立と商標のこと

 写真と俳句の距離感について

 俳句甲子園と写真と俳句
 
 写真と俳句作品集や関連の出版物

 カメラの話

 各地での様々な展示会等


【執筆者プロフィール】
倉田有希(くらた・ゆうき)
1963年、東京生れ。「里俳句会」を経て現在は「鏡」に所属。
「写真とコトノハ展」代表。 ブログ「風と光の散歩道、有希編



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