【ミニ解説】
冬の季語「南天の実」の、五音に合わせた言い方。
【実南天(上五)】
実南天二段に垂れて真赤かな 富安風生
実南天活けたる床に古書二冊 光好三四詩
実南天ときに農奴のにおいかな 中村和弘
実南天眉間につけて虚空を忌む 夏石番矢
【実南天(中七)】
【実南天(下五)】
喪の家に墨磨る手見え実南天 桂信子
しぐれたるあとの日が射し実南天 鷲谷七菜子
日当ればみんなしあはせ実南天 星野麥丘人
子に伝えおくこと多く実南天 藤井八重子
億年のなかの今生実南天 森澄雄
ていねいに朝日がとどく実南天 黛執
家族写真一人増やして実南天 宮里晄
存命の父母を軽んず実南天 正木ゆう子
恋風という語恐ろし実南天 千倉由穂