【夏の季語】冷房

【夏の季語=晩夏(7月)】冷房

暑い時期に冷気を送る空調装置(エアコン)のこと。「クーラー」とも。

電車のクーラーのきいた車両は「冷房車」と呼ぶ。


【冷房(上五)】
冷房車満洲の冬に話とぶ 京極杞陽
冷房の時計時計の時おなじ 西東三鬼
冷房の下着売場の白世界 草間時彦
冷房とまる高階純愛の男女残し 金子兜太
冷房や握手以上の仲ならず 鷹羽狩行
冷房のなかなか効かぬ男かな 渋川京子
冷房にゐて国宝の滝の前 角川春樹
冷房車濤かがやきて音もなし 長谷川櫂
冷房や「無題」が題の絵が並び 岡野泰輔
冷房や一僧壁によりかかり 岸本尚毅
冷房の風に縮まりゆく野性 櫂未知子
冷房の底にしづんでゆくやうな 木津みち子
冷房がこはれ空芯菜おかはり 小川楓子
冷房に冷えし釣銭渡されぬ 小野あらた

【冷房(中七)】
笑ふ声なき冷房の講師室 森田公司
サバ缶開けます冷房がだめなひと 小川楓子

【冷房(下五)】
句集読むはづかしさ弱冷房車 松村武雄
泣きやまぬ子供がひとり冷房車 片山由美子


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