散るときのきてちる牡丹哀しまず 稲垣きく…
沈丁や夜でなければ逢へぬひと 五所平之助…
ひざにゐて猫涅槃図に間に合はず) 有馬朗…
年玉受く何も握れぬ手でありしが) 髙柳克…
水底に届かぬ雪の白さかな) 蜂谷(はちや…
イエスほど痩せてはをらず薬喰 亀田虎童子…
暗闇の眼玉濡さず泳ぐなり 鈴木六林男(『…
嫁がねば長き青春青蜜柑 大橋敦子(『手鞠…
胡桃割る胡桃の中に使はぬ部屋 鷹羽狩行(…
わが畑もおそろかならず麦は穂に 篠田悌二…
夕焼や答へぬベルを押して立つ 久保ゐの吉…
尺蠖の己れの宙を疑はず 飯島晴子(「飯島…