大空へ解き放たれし燕かな 前北かおる 徒…
人のかほ描かれてゐたる巣箱かな) (藤原…
鹿の映れるまひるまのわが自転車旅行) 飯…
秋草の揺れの移れる体かな 涼野海音 十月…
中年や遠くみのれる夜の桃 西東三鬼(『夜…
黒鯛のけむれる方へ漕ぎ出づる 宇多喜代子…
行く雁を見てゐる肩に手を置かれ 市村不先…
逢曳や冬鶯に啼かれもし 安住敦(『筑摩文…
山茶花のくれなゐひとに訪はれずに 橋本多…
待ち人の来ず赤い羽根吹かれをり 涼野海音…
誕生日の切符も自動改札に飲まれる) 岡田…
稻光 碎カレシモノ ヒシメキアイ) 富澤…