【春の季語=晩春(4月)】夜桜

夜の「」のこと。

闇夜に映える桜の美しさは、えもいわれぬものがある。


【夜桜(上五)】
夜桜ににぎはふ恋の神籤かな 大橋櫻坡子
夜桜やうらわかき月本郷に 石田波郷
夜桜のどよめきこもる谷の底 福田甲子雄
夜櫻にまじる裸木恐ろしく 千原叡子
夜桜や波見えずして海動く 高橋悦男
夜櫻に毒婦いたぶる巡羅をり 筑紫磐井
夜桜にひとりでゐると耳が散る 林桂
夜桜に背広の冷えて帰宅せり 正木ゆう子
夜桜の出口を探している二人 対馬康子
夜桜の遠き一本われを待つ 片山由美子
夜桜へ身ぬちの鬼に誘はれ 谷口いづみ
夜桜をカップラーメンタルな徒歩 福田若之 

【夜桜(中七)】
おもしろの世の夜桜と仰ぐかな 大石悦子
想像のつく夜桜を見に来たわ 池田澄子
千の青年めく夜桜へ歩むなり 関悦史

【夜桜(下五)】

【夜の桜】
自転車を押しゆく夜の桜かな 藤本夕衣

【川柳】
夜桜を見て来て誰も寄せつけず 渡辺康子


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