【秋の季語】萩/萩の花 白萩 紅萩 小萩 山萩 野萩 こぼれ萩 乱れ萩 括り萩 萩日和

【秋の季語=初秋(8月)】萩/萩の花 白萩 紅萩 小萩 山萩 野萩 こぼれ萩 乱れ萩 括り萩 萩日和

【解説】これが萩。秋の七草のひとつ。

【関連季語】秋の七草、芒、萱など。


【萩(上五)】
萩咲て家賃五円の家に住む 正岡子規
萩の風ほつほつと花咲きそめし 高浜虚子
萩の野は集つてゆき山となる 藤後左右
萩の風何か急かるる何ならむ 水原秋櫻子
萩の雨傘さして庭一廻り 中村吉右衛門
萩ひと夜乱れしあとと知られけり 小倉涌史
先師の萩盛りの頃やわが死ぬ日 大野林火
萩桔梗またまぼろしの行方かな 赤尾兜子
萩がもと掃かれてありし嫁が来て 能村登四郎
萩すゝき追分いよゝすさまじく 齋藤玄
萩を吹きあまりし風や豆腐まで 飴山實
萩を刈る一個の固き頭なり 飯島晴子
萩に寄り振り向くことを齢とす 村越化石
萩のほかの六草の名の重たけれ 加藤鎮司
萩刈りてすこしづつ消す萩明り 後藤比奈夫
萩に手をふれて昔の如く訪ふ 深見けん二
萩の影ずらして水の動かざる 岡田史乃
萩の蝶黄色ばかりや山の風 星野椿
萩括る馬の尾つぽも括りたし 大木あまり
萩に雨こんな日もなければ困る 中原道夫
萩の花雨とびついてとびついて 石田郷子

【萩(中七)】
ゆつくり歩かう萩がこぼれる 種田山頭火
こんなに山に咲いてゐた萩を活けてくれた シヤツと雑草 栗林一石路
少女期は何かたべ萩を素通りに 富安風生
ピカソ忌の萩寺尿意しきりなり 塚本邦雄
たゞしくは萩にまぎれし萩の径 加藤郁乎
死の如し萩の裏葉の一夜明く 齋藤玄
風立つや風にうなずく萩その他 楠本憲吉
しづかなるよろこび萩に祖母となり 高橋淡路女
夕日抱く大萩黄葉なりしかな 山田弘子
後鳥羽院鳥羽院萩で擲りあふ 佐藤りえ

【萩(下五)】
一家に遊女もねたり萩と月 松尾芭蕉
ほろほろと蝶あがるなり萩の中 久保田万太郎
山の子が荷物持ち呉れ萩がくれ 阿部みどり女
晩学のよろけよろけて萩秀づ 千代田葛彦
みちのくに生まれて老いて萩を愛づ  佐藤鬼房
はやばやと燈をともすなり萩に雨 角川春樹
古池や乱れてしまえ萩すすき 鳴戸奈菜
地図に見る明日行くところ萩の卍 池田澄子
どこからか来てひとりづつ萩あかり 恩田侑布子
城にみな昔のありて萩の花  片山由美子
左京より右京に親し萩の風  明隅礼子


【白萩】
白萩の雨をこぼして束ねけり  杉田久女
白萩のつぼみ法然院の閑    鷹羽狩行
白萩のつめたく夕日こぼしけり  上村占魚
白萩やこれよりさきはけものみち 大木あまり

【萩の宿】
萩の宿白き襖の貧ならず  鈴木花蓑  
萩の宿古りあまつさへ税来る  清水基吉

【こぼれ萩】
きのふ古し遺筆に活けてこぼれ萩   渡辺水巴
眼に溜めて風の色見ゆこぼれ萩    福永耕二

【乱れ萩】
わが墓は天上にあり乱れ萩 保坂加津夫
山風にますますけふの乱れ萩 橋本美奈子

【青萩】
青萩や日々あたらしき母の老い 正木ゆう子



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