新年の季語(1月)宝船

【ミニ解説】

正月に宝船の絵を枕の下に敷いて眠ると、縁起のいい「初夢」を見ることができるといわれている。

アナクロニックなこの風習が、正月を俳諧味のあるものにしてくれる一面も。


【宝船(上五)】
宝舟目出度さ限りなかりけり 高浜虚子
宝船皺寄つてゐる目覚めかな 千原叡子
宝船敷いてこれより漕ぎ出む 永方裕子
宝船ひらひらさせてみたりけり 西村麒麟
宝船自ら描いて一人足りぬ 久留島元

【宝船(中七)】

【宝船(下五)】
須磨明石みぬ寝心やたから船 嵐雪
敷妙の枕紙なり宝船 井上井月
吾妹子が敷いてくれたる宝舟 高浜虚子
敷いて寝る百万両の宝船 富安風生
つくづくと寶はよき字宝舟 後藤比奈夫
年寄の夢の淡さよ宝船 後藤比奈夫
赤ん坊に敷く大いなる宝船 有馬朗人
船籍の明らかならず宝船 森田幸夫
迂闊にも枕を外れ宝船 伊藤伊那男
海賊の仲間になれる宝船 寺澤一雄
列島砕きつ惑星大の宝船 関悦史
枕よりはみ出してゐる宝船  森脇由美子
神々はみなふくよかに宝船 堀切克洋
落款へ波の寄するや宝船 斉藤志歩


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