【新年の季語】歌かるた(歌がるた)

新年の季語(1月)歌かるた(歌がるた)

【ミニ解説】

新年の季語「歌留多」のなかでも、とくに百人一首に代表されるカルタ遊びのこと。

「歌がるた」の成立は、江戸初期。本来は、歌をおぼえるための教育的な遊びで、《小倉百人一首》《伊勢物語》《古今集》《源氏物語》などの歌が用いられていたが、そのなかでもとくに《小倉百人一首》が普及し、今日でも愛好されている。

江戸時代には、歌がるたのことを一部で「歌貝」「続松(ついまつ)」などと呼んだこともあるが、これは、賭博かるたと同一視されるのをきらったため。しかし、定着せずに終わったようである。

かるたは、もともと外来語のため「歌留多」という漢字が当てられることがあるが、「歌歌留多」など同じ漢字がふたつ続くため、「歌かるた」「歌がるた」とひらくことが多い。


【歌留多(上五)】
歌かるた知らぬ女と竝びけり 正岡子規
歌かるた女ばかりの夜は更けぬ 正岡子規
歌かるた戀ならなくに胴氣哉 正岡子規
歌かるた人知れずこそ恋ひにけり 村山故郷
歌かるた昔むかしの母の恋 鷹羽狩行
歌かるた掠め取られし恋の札 辻田克巳
歌かるた予備札白きままに古る 戸矢一斗

【歌留多(中七)】

【歌留多(下五)】
茸狩や鼻のさきなる歌がるた 榎本其角
蓬莱の一間明るし歌かるた 正岡子規
法師出て嫌はるゝなり歌がるた 阿波野青畝
佳きひとの声音まぢかや歌かるた 桂信子
老の艶こゑに出にける歌かるた 森澄雄
読み札のいちまいを欠く歌がるた 伊藤白潮
鼻高き清少納言歌カルタ 有馬朗人
みそかごと大音声に歌かるた 鷹羽狩行
撥ねとばす一枚恋の歌がるた 加古宗也


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