前句集『にれかめる』で牛飼詩人としてその名を全国に知らしめた鈴木牛後さんの第4句集。セクト・ポクリットにおいても1年目に「ハイクノミカタ」火曜レギュラーとして、ご執筆いただきました。『にれかめる』以降の、2019年から2023年までの5年間に発表した句から372句を収録。
鈴木牛後『鄙の色』(書肆アルス、2025年)
価格 2,000 円+税 2,200 円(税込)
四六判 208ページ
ISBN978-4-907078-49-2
【自選12句】
春来る尾の有るものに無いものに
白樺の樹皮のしらりと春雪光
母牛の喰らふ春闇色の胞衣
蝦夷梅雨の牛の涎のやうな空
沖とほき息夏草を胸に漕ぎ
黒牛に黒い反芻熱波来る
いとど出てくる住み古りし貌をして
露に牛追ふ棒切れも露に濡れ
鹿の屍を穿る鴉の芯まで黒
吹かれをる枯蜘蛛足八本無欠
青空を重石と思ふ寒さかな
雪の夜の牛の眼の底知れず