早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)による作家を招いての朗読とトークを中心としたイベント「Authors Alive! ~作家に会おう!~」に、12月10日(水)に俳人の長谷川櫂が出演する。
今回は、俳人の長谷川櫂さんをお迎えします。
小説から現代詩、短歌まで入れれば日本の文芸に長短様々な形があることはよく分かります。今回、Authors Alive!に俳句を初めて登場させます。
俳人・長谷川櫂さんは自ら句を詠み、句作りの喜びを伝え、また俳句のルーツを掘り下げながらたくさんの優れた批評を世に問うてきた作家です。まさに俳壇のリーダーとして知られる彼に、ご登壇をお願いする文面を送ると「俳句の朗読。どう読むか(一瞬で終わりますよー)。試しておきます」という嬉しい返事が戻ってきました。長谷川さんが耳で聴く17文字の「一瞬」に対して抱く長年の想いは何なのでしょうか。世界に誇る日本の短詩形「俳句」を聴き、心にどんな風景が去来するのでしょうか。文学館という私たちのラボの今回の実験に、ぜひご参加ください。
【参考】『長谷川櫂 自選五〇〇句』(朔出版、2024年)
開催日時:12月10日(水)18:30-20:00
開 場:18:00
開催場所:早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)地下1階
言 語:日本語
主 催:早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)
入 場:無料(事前申し込み制。申込多数の場合抽選)
参加募集締切:11月24日(月)23:59まで

◎本文……『古志』『天球』『果実』『蓬萊』『虚空』『松島』『初雁』『新年』『富士』『鶯』
『震災句集』『唐津』『柏餅』『吉野』『沖縄』『九月』『太陽の門』から自選句抄出
◎エッセイ「封印」……長谷川櫂
◎長谷川櫂論「黒い獣と花」……青木亮人
◎自筆年譜/初句索引/季語索引付
◆内容紹介
数多くの句集や俳論、エッセイ集を発表し、
俳句界をリードし続ける俳人・長谷川櫂による、待望の自選句集!
第一句集『古志』から、最新句集『太陽の門』まで、
全17冊の句集からその俳句のエッセンスを凝縮した一冊。
長谷川櫂の「いま」が見えてくる。
◆著者エッセイ「封印」より
『古志』の帯文に「これから、このうちのどの方向に眼差しをむけ、
どのように深めていくのだろう。私は氏の行方から、目を離さないつもりである」
と書いた飯田龍太は、その後の私の俳句にどんな印をつけるだろうか。
知りたいと思うものの、それを知るのはまさに恐ろしいことである。
◆あとがきより
一九五四年二月二十日土曜日の早朝、私は母の実家で生まれた。その日は大雪。
父は自転車で何度も転びながら三キロほど離れた母の実家へ急いだのだそうだ。
川に沿って国道を越え、鉄道を越えてよろよろとつづく雪の道。この道を黒い自転車に乗って母のもとへ急ぐ若い父。
一生のはじまりのこの情景を思い出すたび、その日の雪のように真っ白な幸福感に包まれる。
この幸福感ばかりはかけがえがない。
◆著者プロフィール
長谷川櫂(はせがわ・かい)
1954年、熊本県生まれ。中学時代から俳句をはじめ、平井照敏、飴山實に学ぶ。
東京大学法学部卒業、読売新聞記者を経て俳句に専念。1993年、「古志」を創刊主宰。
2000年より朝日俳壇選者。2004年から読売新聞に連載の詩歌コラム「四季」は今年20年を迎えた。
『俳句の宇宙』でサントリー学芸賞(1990)、句集『虚空』で読売文学賞(2003)受賞。
その他、ネット歳時記「きごさい」代表、東海大学文芸創作学科特任教授、
神奈川近代文学館副館長、「奥の細道文学賞」「ドナルド・キーン大賞」選考委員等を務める。
