【春の季語=初春(2月)】白梅

一般的には、花びらが白い「」のことを指す。

「はくばい」とも「しらうめ」とも読み、「梅白し」「梅真白」などと表現することもある。

ただし植物学上は、花びらではなく、枝や幹を切った時の断面(木質部)の色で判別する。


【白梅(上五)】
しら梅に明る夜ばかりとなりにけり 蕪村
梅白しまことに白く新しく 星野立子
白梅や天没地没虚空没 永田耕衣
白梅のひともとゆゑに崖の家 川崎展宏
白梅や粥の面てを裏切らむ 飯島晴子
白梅でなければならぬ素老人 八田木枯
白梅や丹波へ紙を買ひに来て 大石悦子
白梅や玄関広く下駄ひとつ 徳永真弓
白梅の中抜けてきし鳥のかほ 名取里美
白梅の水に映らぬところなし 岩田由美
白梅の散りこんでゐる控室  金子敦
白梅は完全犯罪である  山本敏幸

【白梅(中七)】
微熱あるかに白梅の花いきれ 上田五千石
色として白梅の白なかりけり 齋藤玄
男来て梅の白さに狼狽す 宇多喜代子
散り敷きて白梅清く掃きのこし 園田美知子
黄昏の白梅過去となつてゐし  角谷昌子
そぼ濡れてあたり白梅ばかりなり 近江文代

【白梅(下五)】
勇気こそ地の塩なれや梅真白 中村草田男
水したたるごとくにしだれ梅の白 野澤節子
安達太良山系暮れ白梅が恥毛ほど 高野ムツオ
ああああと指から逃げていく白梅  久保純夫
花の向き迷ひなかりし梅白し 金原知典
いつときの恋いつときの梅ま白 名取里美

【ほかの季語と】
白梅のあと紅梅の深空あり 飯田龍太
白梅になき仏心を紅梅に 森 澄雄

【自由律】
がんこな咳のあいま白梅の瓶の位置をなおす  吉岡禅寺洞


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】



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