【春の季語】石鹸玉

【春の季語(三春=2月〜4月)】石鹸玉

【コメント】

昔はムクロジの実から石鹸玉を作ったこともありました。

【参考】森の達人の樹木雑学【第12回】屋根まで飛ばそう「ムクロジ」シャボン玉

やはり春のゆったりとした気分に合う子供の遊び、ということで近代以降に季語として登録されたのでしょう。

かつては「たまや」「水圏戯」とも呼ばれていましたが(改造社版『俳諧歳時記』)、いまではほかの名称はあまり聞かれなくなっています。


【石鹸玉(上五)】
しやぼんだま天が映りて窓の如 京極杞陽
しやぼん玉吹いてみづからふりかぶる 橋本多佳子
しやぼん玉吹き太陽が宙返り 山田弘子
石鹸玉の割れし一瞬破片見ゆ 中村和弘
シャボン玉吹く何様のような顔 斉田仁
しやぼん玉磴を一段づつ降りる 行方克巳
しやぼん玉一ト弾みして風にのり 行方克巳
しやぼん玉兄弟髪の色違ふ 西村和子
しやぼん玉息といふものかく軽し 岩城久治
石鹸玉割るだけの子もなかにゐて 三代川次郎
石鹸玉吹く子に父の舟帰る 瀬戸口靖代
しやぼん玉吹きたくさんの顔飛ばす 坂本宮尾
石鹸玉吾子にも恋の敵ゐる 田中裕明
しやぼん玉ふく陳さんのフィアンセと 夏井いつき
しやぼん玉尼僧の列を乱しけり 土肥あき子
しやぼん玉平均律の震へかな 柏柳明子
石鹸玉きらりと門を出づるなり 依光陽子
シャボン玉ひとつ壊して地に還す 近恵
しやぼん玉水面にとまる円きまま 堀田季何
石鹸玉あまねく生まれたての色 堀切克洋
しやぼんだま死後は鏡の無き世界 佐々木啄実

【石鹸玉(中七)】
庭狭し石鹸玉割るための指  小鳥遊栄樹
歪みつつしやぼん玉デモ隊の上 堀田季何

【石鹸玉(下五)】
流れつつ色を変へけり石鹸玉 松本たかし
吹いてをり離れたがらぬ石鹸玉 後藤比奈夫
転生の途中のやうなしやぼん玉 松下カロ
ストローの先で回るや石鹸玉 小池康生
月山をやすやす運ぶ石鹸玉 和田仁
つぎつぎと小石のやうなしやぼん玉 山岸由佳
うつむいて吹いても空へしやぼん玉 鶴岡加苗
だけど僕は屋上に吹くしゃぼん玉 神野紗希



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