冬の季語

【冬の季語】湯ざめ(湯冷め)

【冬の季語=三冬(11〜1月)】湯ざめ(湯冷め)

風呂上がりやシャワーを浴びたあとに、必要以上に体温を奪われること。

一年中起こりうることだが、とくに冬の寒い時期は要注意ということで。


【湯ざめ(上五)】
湯ざめせし背に大いなる月かかる 中村汀女
湯ざめして或夜の妻の美しく 鈴木花蓑
湯ざめしてよりちかぢかと汽車の音 細川加賀
湯ざめとは松尾和子の歌のやう 今井杏太郎
湯ざめして遥かなるものはるかなり 藤田湘子
湯ざめして二十世紀に遺されき 大屋達治
湯ざめして眉のあたりのうつろなる 片山由美子
湯ざめして鏡の奥の狐顔 仙田洋子
湯ざめして肺の裏側まで孤独 仲寒蝉
湯ざめせぬようこの顔を落とさぬよう 渋川京子
湯ざめする女の身にもなつてみよ 三代寿美代
湯冷めするからと電話を切られけり 杉山久子
湯ざめして木馬のやうな声を出す 西生ゆかり

【湯ざめ(中七)】
湯に入れば湯ざめをかこつ女かな 高浜虚子
ざうざうと湯ざめしてをり路次咄 久米三汀
壁の絵の写楽に湯ざめうつりけり 細川加賀
昔をとこありけり湯ざめしたりけり 細川加賀
生き死にや湯ざめのような酔い心地 清水哲男

【湯ざめ(下五)】
藤の穂絮の兎となれり湯ざめして 中村苑子
つぎつぎに星座のそろふ湯ざめかな 福田甲子雄
後より掴まるるごと湯ざめせり 古賀まり子
現世を少し離れぬ湯ざめして 長尾博
またひとつ星の見えくる湯ざめかな 日下野由季


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