【夏の季語】雲の峰

【夏の季語=三夏(5月〜7月)】雲の峰

「夏雲」のなかでも「峰」のように隆々と積み上がった雲のことをいう。

いわゆる「積乱雲」ないしは「入道雲」である。

俳句用語として「峰雲」と四音で使われることもたまに。

厚餡割ればシクと音して雲の峰 中村草田男

から

一瞬にしてみな遺品雲の峰 櫂未知子

まで、愛唱される句が多い季語のひとつである。


【雲の峰(上五)】
雲の峰幾つ崩れて月の山 芭蕉
雲の峰きのふに似たるけふもあり 白雄
雲の峯見る見る雲を吐かんとす 寺田寅彦
雲の峰ぬつと東京駅の上 鈴木花蓑
雲の峰人間小さく働ける 星野立子
雲の峯通行人として眺む 永田耕衣
雲の峰一人の家を一人発ち 岡本眸
雲の峯まっしろ食われセバスチャン 金原まさ子
雲の峰過去深まつてゆくばかり 矢島渚男
雲の峰ひとつ崩れてムンクの絵 佐藤雄二
雲の峰コントラバスを寝転ばす 小津夜景
雲の峰獣ほとんど繋がれて 仮屋賢一

【雲の峰(中七)】

【雲の峰(下五)】
ひらひらとあぐる扇や雲の峰 芭蕉
湖やあつさををしむ雲のみね 芭蕉
厚餡割ればシクと音して雲の峰 中村草田男
爼の魚の眼が見る雲の峰 桂信子
海女ひとり潜づく山浦雲の峰 井本農一
たまさかは濃き味を恋ふ雲の峰 正木浩一
中干しの稲に力を雲の峰 本宮哲郎
もてあます時間崩るる雲の峰 今井豊
一瞬にしてみな遺品雲の峰 櫂未知子
リリーフは放言ルーキー雲の峰 三宅やよい
飯粒のねばり強さよ雲の峰 日原傳
また育つ古き写真の雲の峰 恩田侑布子
サンドイッチしづかに倒れ雲の峰 金子 敦
船頭はバイクで帰り雲の峰 松本てふこ
手を挙げてマイク貰ひぬ雲の峰  加藤ゆめこ



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