【秋の季語】コスモス

【秋の季語=仲秋〜晩秋(9月〜10月)】コスモス

9月か10月になると、路傍などに咲き始めるキク科の一年草。白やピンクの花をつける。

茎はひょろひょろと伸びて風に揺られているので、風に揺られている、倒れそう、みたいな句が多くなる。

花弁が桜に似ているところから「秋桜」ともいわれるが、そんなに似ていない。


【コスモス(上五)】
コスモスくらし雲の中ゆく月の暈 杉田久女
コスモスの花あそびをる虚空かな 高浜虚子
コスモスや茶も売りに来ぬ駅の昼 巌谷小波
コスモスや海少し見ゆる邸道 萩原朔太郎
コスモスを離れし蝶に谿深し 水原秋櫻子
コスモスの花揺れて来て唇に 星野立子
コスモスなどやさしく吹けば死ねないよ 鈴木しづ子
コスモスに垣の結び目の見ゆるかな 原石鼎
コスモスの紅のみ咲いて嬉しけれ 原石鼎
コスモスのゆれかはしゐて相うたず 鈴鹿野風呂
コスモスはどこにありても風少し 細見綾子
コスモスの押しよせてゐる厨口 清崎敏郎
コスモスといふ片仮名の好きな風 山田弘子
コスモスの色の分れ目通れさう 稲畑汀子
コスモスの花にも欲しき老の艶 後藤比奈夫
コスモスの花を見てをり休肝日 後藤比奈夫
コスモスや今日殺される犬の声 國井克彦
コスモスを愛づゆとりとてなきゴルフ 大橋 晄
コスモスを挿して産婦となりし朝 対馬康子
コスモスのどこかがゆれている不惑 木下蘇陽
コスモスと少年ほかは忘れたり 藤村真理
私コスモスいつも離陸路着陸路 池禎章
コスモスの暗がりに足入れている 近恵
コスモスや泣きたくなつたので笑ふ 吉田林檎
コスモスにぶつかりに行く鳩と風 西生ゆかり

【コスモス(中七)】
風の無き時もコスモスなりしかな 粟津松彩子
つき放す貨車コスモスのあたりまで 深川正一郎
小さき町にコスモス溢れ鳴る汽笛 飴山實

【コスモス(下五)】
藁灰のしめりに散りてゐしコスモス 右城暮石
頭痛の心痛の腰痛のコスモス 金子兜太
破船見の崖でもあるか コスモス揺れ 伊丹三樹彦


「秋桜」の例句はこちらから


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