コスモスを愛づゆとりとてなきゴルフ大橋晄【季語＝コスモス（秋）】

ハイクノミカタ

コスモスを愛づゆとりとてなきゴルフ　大橋晄【季語＝コスモス（秋）】

2023/9/8
ハイクノミカタ, 塚本武州
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コスモスを愛づゆとりとてなきゴルフ

大橋晄

　週末、札幌へ行ってきた。涼しいと思っていたが、今年は例年にない暑さで、エアコンが無ければ過ごせないぐらいだった。通常、札幌は夏が短いのでエアコンのある家が珍しいが、今年はさすがにエアコンを買いに走ったと地元の方が話していた。家は断熱効果が高く、一旦、熱気が入ると部屋に籠ってしまう。窓を開けても熱風が入るだけなので、朝の冷気を部屋にためて窓を閉め切ったままにするのが良いとのことであった。そういえば、ドイツ・ミュンヘンで似たような経験をした。ある暑い日にドイツ人達が部屋の窓を閉め切っていたので、風を入れようと思い、窓を全開にしたら白い目で見られた。せっかく、冷気をためていたのにという、冷めた目であった。確かに、外からの熱波が吹き込み、冷気は外へ逃げてしまった。

コスモスを愛づゆとりとてなきゴルフ　大橋晄
『ホトトギス新歳時記第三版』

　暑いと思っていた札幌でもコスモスは咲き始めていた。疎らではあったが、丘の麓に咲いていた。バスの車内からコスモスを眺めていたら、突然、モアイ像が現れて二度見した。それも１体では無く、数十体並んでいた。あとで調べたら、この丘は霊園の入り口で、モアイ像は３３体あるそうだ。モアイの「モ」は未来、「アイ」は生きるという意味があり、生きた証を後世へ永遠に伝承できるように建てられたらしい。この総面積１８０万㎡（東京ドーム約４０個分）の大地には、ストーンヘンジのレプリカもある。さすが北海道はでっかいどう、スケールの大きさに圧倒された。

　札幌の街には人が少なかったが、新千歳空港にはたくさんの旅行者がいた。特に、中国・韓国からの旅行客が空港のお店で爆買いしていて、コロナ禍前の活気が戻ったように感じた。なかでも、４個入り１２０００円の夕張メロンが飛ぶように売れていた。メロン嫌いの私にはまたまた二度見する光景だった。

（塚本武州）

【執筆者プロフィール】
塚本武州（つかもと・ぶしゅう）
1969 年、立川市生まれ。書道家の父親が俳号「武州」を命名。茶道家の母親の影響で俳句を始める。2000年〜2006年までイギリス、フランス、2011年〜2020年までドイツ、シンガポール、台湾に駐在。帰国後、本格的に俳句を習い、２０２１年４月号より俳誌『ホトトギス』へ出句。現在、社会人学生として、京都芸術大学通信教育部文芸コース及び博物館学芸員課程を履修中。神戸市在住。妻と白猫（ユキ）の３人暮らし。