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春暁のカーテンひくと人たてり 久保ゐの吉【季語=春暁(春)】

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春暁のカーテンひくと人たてり

久保ゐの吉(くぼ・いのきち)


夢に見た連休、まさかこんなに寒くて暗くて雨で部屋が散らかってて副反応中だなんて。

というわけで、更新が遅くなりました。

そんな連休に、前々からご紹介したかったこちらの句。

春暁のカーテンひくと人たてり

春暁は春の早朝、闇の中から光が生まれる頃。私が今日、目覚めたのは11時ごろで、春暁も何もないものですが、昨夜から今朝にかけて、寝苦しくて何回か目覚めた内の一回が、そんな明るさだったかもしれない(記憶は曖昧)。

さて、この句は(以前に右から横書きをして左から読むと)「よしの・いぼきゅう」に読めてしまうという話をした、久保ゐの吉の句。

わたしがすこし熱があるからかもしれないのだけれど、言葉はやさしいけれど、句意は明快ではない。

まず、「カーテンひく」。カーテンは閉じるときにも開けるときにも「ひく」。どちらかは、局面から判断するしかない。といっても、俳句には十七音分の背景しか描かれない。ここでは、「春暁」の時間帯に従って、「開ける」としておこう。

次に、「人たてり」。カーテンは窓にかかっていて、もし上のように「開ける」とすれば、窓の外と中とが視界には入る。部屋の中にいた人が、カーテンの音や微かな外光に気付いて立ち上がったのか、外にいた人がそのタイミングに立ち上がったのか。

朝から見るでもなく英国ミステリードラマ「Sherlock」シリーズを見続けているためか、いろいろ読み解きたくなってしまう。「人」の立ち位置についていえば、それは読者のたのしみに委ねられている。

寝がたい夜の終わりを待ちわびて開けるカーテンからの光へ立ち上がった室内の人の姿とも(確かにゐの吉は医者であって、これは病室である可能性もある)、窓の外に早くも活動を始めた人々と室内のタイミング的な呼応とも。

毎年、連休が来ると朝早く起きて、家の近所を散歩でもして、買ったばかりのパンで朝食を済ませ、永い一日を堪能することを夢見るのだけれど、まあなあ、今日は仕方がないかなあ、明日こそはなあ…と、ワクチン三回目接種の24時間後は過ぎてゆくのでした。

『ホトトギス同人句集』(1938年)

阪西敦子


【阪西敦子のバックナンバー】

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【執筆者プロフィール】
阪西敦子(さかにし・あつこ)
1977年、逗子生まれ。84年、祖母の勧めで七歳より作句、『ホトトギス』児童・生徒の部投句、2008年より同人。1995年より俳誌『円虹』所属。日本伝統俳句協会会員。2010年第21回同新人賞受賞。アンソロジー『天の川銀河発電所』『俳コレ』入集、共著に『ホトトギスの俳人101』など。松山市俳句甲子園審査員、江東区小中学校俳句大会、『100年俳句計画』内「100年投句計画」など選者。句集『金魚』を製作中。



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