白牡丹四五日そして雨どつと 高田風人子【季語=白牡丹(夏)】


白牡丹四五日そして雨どつと

高田風人子(たかだ・ふうじんし)


やっと晴れたここ数日。晴れた休みと言うだけで、いろいろなことが片付いて進んでいく。のだけれど…

白牡丹四五日そして雨どつと

白牡丹はことに晴れが必要だ。色がないからこそ、光がその姿を形作るからだ。そして、風。日の中を吹く風が白牡丹の表情の大部分となる。

そんな白牡丹を十分に体現した四五日が過ぎて…雨だ、その数日をすべて断ち切るような雨。しかし、その激しい雨がまた、牡丹の姿を次に進めることもある。

高田風人子は大正十五年生まれ、昭和十九年より『ホトトギス』へ投句。二年後より『玉藻』に投句を始め、立子の笹子句会に学んだ。

それにしても、この不思議な体感はどこから来たものだろう。咲いている牡丹からの視点かも知れない。

ここ数日の風の軽さは夏なのだろう。次に梅雨が来るまでの、雨さえも軽いこの時期の、でも、やっぱり四五日の晴れでありますように。

『高田風人子句集』(1995年)

阪西敦子


【阪西敦子のバックナンバー】

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>>〔53〕潮の香や野分のあとの浜畠     齋藤俳小星
>>〔52〕子規逝くや十七日の月明に      高浜虚子
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>>〔50〕横ざまに高き空より菊の虻      歌原蒼苔
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>>〔47〕手花火を左に移しさしまねく     成瀬正俊
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>>〔44〕愉快な彼巡査となつて帰省せり    千原草之
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>>〔41〕フラミンゴ同士暑がつてはをらず  後藤比奈夫
>>〔40〕夕焼や答へぬベルを押して立つ   久保ゐの吉

>>〔39〕夾竹桃くらくなるまで語りけり   赤星水竹居
>>〔38〕父の日の父に甘えに来たらしき   後藤比奈夫
>>〔37〕麺麭摂るや夏めく卓の花蔬菜     飯田蛇笏
>>〔36〕あとからの蝶美しや花葵       岩木躑躅
>>〔35〕麦打の埃の中の花葵        本田あふひ
>>〔34〕麦秋や光なき海平らけく       上村占魚
>>〔33〕酒よろしさやゑんどうの味も好し   上村占魚
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>>〔20〕来よ来よと梅の月ヶ瀬より電話   田畑美穂女
>>〔19〕梅ほつほつ人ごゑ遠きところより  深川正一郎
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>>〔13〕この出遭ひこそクリスマスプレゼント 稲畑汀子
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【執筆者プロフィール】
阪西敦子(さかにし・あつこ)
1977年、逗子生まれ。84年、祖母の勧めで七歳より作句、『ホトトギス』児童・生徒の部投句、2008年より同人。1995年より俳誌『円虹』所属。日本伝統俳句協会会員。2010年第21回同新人賞受賞。アンソロジー『天の川銀河発電所』『俳コレ』入集、共著に『ホトトギスの俳人101』など。松山市俳句甲子園審査員、江東区小中学校俳句大会、『100年俳句計画』内「100年投句計画」など選者。句集『金魚』を製作中。



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