ハイクノミカタ

故郷のすすしの陰や春の雪 原石鼎【季語=春の雪(春)】 


故郷のすすしの陰や春の雪)

(原石鼎
 (昭和10年作)

ついに島根へ降り立った。
穏やかな街で、これから素敵な暮らしが出来そうであり、ワクワクしている。と言いつつ、まだホテル暮らしである。

今日は、島根県出雲市出身の俳人、原石鼎の句を取り上げる。

石鼎は、1886年に島根県簸川郡塩冶村(現在の出雲市にあたる)の医師の家に三男として生まれ、県立簸川中学校(現在の島根県立大社高等学校)へ入学している。5年生の時、新任教員であった俳人の竹村秋竹の家に寄宿し、秋竹の影響を受け俳句、短歌を初めとする文学活動に熱中した。『国文学』に俳句などを投稿し、入選していたそう。島根で俳句の基礎を育んだと言えよう。卒業後は、京都医学専門学校に進んでいる。1912年に「ホトトギス」に投句を始め、1921年には「鹿火屋」の主宰となった。

掲句は、石鼎の母親が危篤状態になり、出雲へ帰省した際の一句。作年は昭和10年。現在、出雲市塩冶町の塩冶揚公園に掲句の句碑が建立されている。

この句で登場する、「すすし」だが、何のことだかさっぱり分からなかった。
Google先生に「すすし とは」で検索しても、寿司しか出てこない。

詳しく書いてあるサイトを見つけたので、以下にリンクを貼っておく。

ご存じですか? ~郷土の俳人 原石鼎~

このサイトには、こう書いてある。
「出雲では稲を刈り終わった田に藁を積みあげたものを、【猪巣】→【ししす】と呼び、人によって【すすし】となります。(ご年配の方は【すすす】だったりも)」
とのこと。藁を積み上げたもののことだそう。

そんな積み上げた藁の塊の陰に、春の雪が残っているといった景だろうか。出雲の田園風景を綺麗に描いている。石鼎の句では有名ではないそうだが、紛うことなき故郷を詠んだ佳句である。

まだ、島根生活3日目であるが、これから様々な風景を俳句に落とし込んでいきたいと強く思った。

最後に、、、
【山陰地方へお住まいの方へ】

松江市の「書架 青と緑」さん(@shoka_books)にて、超結社句会を立ち上げました。少人数での開催にはなりますが、毎月開催しますので、ご興味ある方は、X(旧Twitter)の情報をご確認ください!

鈴木総史


【執筆者プロフィール】
鈴木総史(すずき・そうし)
平成8年(1996)東京都生まれ、27歳。
北海道旭川市在住。3月より島根県松江市へ引越予定。
平成27年(2015)3月、「群青」入会。櫂未知子と佐藤郁良に師事。
令和3年(2021)10月、「雪華」入会。
令和4年(2022)、作品集「微熱」にて、第37回北海道新聞俳句賞を受賞。
令和5年(2023)1月より、「雪華」同人。
令和5年(2023)、連作「雨の予感」にて、第11回星野立子新人賞を受賞。
令和6年(2024)3月に、第一句集『氷湖いま』を上梓予定。
現在、「群青」「雪華」同人。俳人協会会員。


2020年10月からスタートした「ハイクノミカタ」。【シーズン1】は、月曜=日下野由季→篠崎央子(2021年7月〜)、火曜=鈴木牛後、水曜=月野ぽぽな、木曜=橋本直、金曜=阪西敦子、土曜=太田うさぎ、日曜=小津夜景さんという布陣で毎日、お届けしてきた記録がこちらです↓


【2024年2月の火曜日☆鈴木総史のバックナンバー】
>>〔10〕足跡が足跡を踏む雪野かな 鈴木牛後
>>〔11〕父の手に負へぬ夜泣きや夏の月 吉田哲二
>>〔12〕トラックに早春を積み引越しす 柊月子

【2024年2月の水曜日☆山岸由佳のバックナンバー】
>>〔1〕雪折を振り返ることしかできず 瀬間陽子
>>〔2〕虎の上に虎乗る春や筥いじり 永田耕衣

【2024年2月の木曜日☆板倉ケンタのバックナンバー】
>>〔1〕寒卵良い学校へゆくために 岩田奎
>>〔2〕泥に降る雪うつくしや泥になる 小川軽舟
>>〔3〕時計屋の時計春の夜どれがほんと 久保田万太郎

【2024年1月の火曜日☆土井探花のバックナンバー】
>>〔5〕初夢のあとアボカドの種まんまる 神野紗希
>>〔6〕許したい許したい真っ青な毛糸 神野紗希
>>〔7〕海外のニュースの河馬が泣いていた 木田智美
>>〔8〕最終回みたいな街に鯨来る 斎藤よひら
>>〔9〕くしゃみしてポラリス逃す銀河売り 市川桜子

【2024年1月の木曜日☆浅川芳直のバックナンバー】
>>〔5〕いつよりも長く頭を下げ初詣 八木澤高原
>>〔6〕冬蟹に尿ればどつと裏返る 只野柯舟
>>〔7〕わが腕は翼風花抱き受け 世古諏訪
>>〔8〕室咲きをきりきり締めて届きたり 蓬田紀枝子


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