【新連載】わたしの出会った、へんな季語【第1回】内野義悠さん



『わたしの出会った、へんな季語』第1回
【休暇明け】
内野義悠


 俳人としてあまり褒められたことではないのだが、作句の際にほとんど紙の歳時記を開かない(専ら「きごさい」のヘビーユーザーである)ぼくにこの企画の第1回を書く機会が頂けたのは、なんだか不思議な巡り合わせだなと思う。
 さて、早速だが今までぼくの出会った中でへんだなぁと思った季語は【休暇明け】である。
 この季語、そもそもの前提として【夏休み】という季語の存在感が無いと成立しない他力本願季語だ。
 そして【夏休み】の持つ圧倒的な「季語らしさ」と、明確でエネルギーに満ちたそのイメージに比べて、この【休暇明け】にはどこか間の抜けたようなつかみどころの無い印象を受ける。
 それでも季語として歳時記に載っているのは、やはり夏休みという夢のような日々が終わり現実に引き戻されるあの何とも言えない切なさや気怠さを、日本人の多くが共有しているからだろう。
 かく言うぼくも学生時代の9月1日には季節性鬱病とも言えるくらいには世界から彩が消えていた人間だった。(この【休暇明け】がある季節という理由だけで本当に秋が嫌いだった。俳人になった今も秋の句が一番苦手という後遺症に苦しんでいる。)
 なので、俳句を作るようになってこの季語を知った時に「うわ、俳人てあの鬱々とした気分までわざわざ詠むのか……」と思ったものだ。
 もちろん中には二学期が始まることを心待ちにしている希有で立派な学生もいるだろうし、そういうイメージで【休暇明け】の句を詠むのも全然アリなのだが、かなり退廃的な人間であるぼくとしては、やっぱりこんな時期までも季語にしているのは俳人の「へん」なところだと思いますね……。


【執筆者プロフィール】
内野義悠(うちの・ぎゆう)
1988年 埼玉県生まれ。
2018年 作句開始。炎環入会。
2020年 第25回炎環新人賞。炎環同人。
2022年 第6回円錐新鋭作品賞 澤好摩奨励賞。
2023年 同人誌豆の木参加。
    第40回兜太現代俳句新人賞 佳作。
    第6回俳句四季新人奨励賞。
俳句同人リブラ参加。
2024年 第1回鱗kokera賞。
    俳句ネプリ「メグルク」創刊。
2025年 第43回兜太現代俳句新人賞
炎環同人・リブラ同人・豆の木同人。
俳句ネプリ「メグルク」メンバー。
現代俳句協会会員・俳人協会会員。
馬好き、旅好き。


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