
【秋の季語=三秋(8-10月)】椋鳥
むくどり。全長24センチくらい。くちばしと脚が橙黄色、背面は黒褐色で、顔に不規則な白斑があり、飛ぶと白い腰が目立つ。大群をつくり、リャーリャーと鳴く。昆虫や果実を食べる。日本では大部分が留鳥である。「椋鳥」と書いて「むく」と慣用的に読ませることもある。
【椋鳥(上五)】
椋鳥千羽山に分れてとまりけり 野村喜舟
椋鳥のかぶさり飛べる小家かな 高浜虚子
椋鳥のこぼれ残りし梢かな 星野立子
椋鳥や牛飼人も子を連れて 藤田湘子
椋鳥なり燃えやすそうに神社なり 池田澄子
椋鳥は遠景を胎動とせよ 岡田一実
椋鳥にオリオン通り明け渡す 豊永裕美
どれも椋鳥ごきげんよう文化祭 小川楓子
【椋鳥(中七)】
久濶を敍し椋鳥を共に仰ぐ 富安風生
旅たのし椋鳥あまたわれとゐて 五所平之助
老いてなどをれぬ椋鳥来る雨が漏る 後藤綾子
同じ田に椋鳥同じ木に帰る クズウジュンイチ
【椋鳥(下五)】
空深む絣十字に椋鳥撒いて 野澤節子