水飲んで眼の渇く鶏頭花 柘植史子【季語=鶏頭(秋)】

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水飲んで眼の渇く鶏頭花  

柘植史子 

句集タイトルにもうかがえるように、わりあい雨の句が多い作者だが、こちらは水分がすべて乾いてしまいそうな暑い秋の日の一句。水を飲んで喉を潤しても、目の乾きは癒せない。それほどまでに日が眩しく、その視界には赫赫と咲き続けている鶏頭が、目の前にある。「水を飲む」という体内を潤す行為と、「目の渇く」という体内から水分が失われている状態の矛盾と、まるで鶏頭の色が、見るものの目から水分を奪っていくかのような感覚は、この植物の特徴を言い当てているようにも思われてくる。ちなみに同じ句集には〈鶏頭の四五本とゐる雨宿り〉という句もあるが、こちらは雨の句で、子規の「十四五本」という句以外で、本数を詠んだ句として目にとまる。まるで、本当の鶏であるかのような数であるところが面白味だ。『雨の梯子』(2018)より。(堀切克洋)

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