【冬の季語=三冬(11月〜1月)】冬銀河
冬の夜空にかかる「天の川」のこと。しんしんと凍てつく冬の小さな星は美しい。
【冬銀河(上五)】
冬銀河青春容赦なく流れ 上田五千石
冬銀河紙で切りたる指うづく 平井照敏
冬銀河寝顔のほかは子と逢えず 宇咲冬男
冬銀河垂れて狼ほろびの地 橋本榮治
冬銀河にんげんは殖えつづけおり 池田澄子
冬銀河旅鞄より流れ出す 坂本宮尾
冬銀河一糸ほつるることもなし 小川軽舟
冬銀河時間過ぎゆくときの音 石田郷子
冬銀河砂曼荼羅を地に描く 山崎祐子
冬銀河言葉で殺し合ふことを 櫂未知子
冬銀河かくもしづかに子の宿る 仙田洋子
冬銀河星を知らざるみどりごに 明隅礼子
【冬銀河(中七)】
【冬銀河(下五)】
永遠と宇宙を信じ冬銀河 高屋窓秋
頬杖の何を見てゐる冬銀河 加藤秋邨
かの山を西に落すや冬銀河 山口青邨
再びは生まれ来ぬ世か冬銀河 細見綾子
たたいて馬を睡りへ誘ふ冬銀河 友岡子郷
無量光院蓮華定院冬銀河 黒田杏子
人の世のそののちのこと冬銀河 伊藤敬子
君寄らば音叉めく身よ冬銀河 藺草慶子
人体に骨ゆきわたる冬銀河 鳥居真里子
寝袋に体温満ちぬ冬銀河 小川軽舟
こゑなさぬ願ひを切に冬銀河 上田日差子
曲りたるところ密なり冬銀河 土肥あき子
猫の眼に吸ひ込まれたる冬銀河 金子敦
永遠とポップコーンと冬銀河 神野紗希
引き出しに飴玉・付箋・冬銀河 千倉由穂