【夏の季語=仲夏(6月)】若竹
初夏、地上に出た「筍」は、茶色の皮を脱いで新しい竹となる(=「竹皮を脱ぐ」)。
ぐんぐんと恐ろしいほどに伸びて、みずみずしい若葉を広げる。「今年竹」とも。
【若竹(上五)】
若竹の石なき庭となりにけり 下島空谷
若竹や鞭の如くに五六本 川端茅舎
若竹の中と思へぬ暗さかな 鷹羽狩行
若竹の打ちあふ空や光秀忌 大石悦子
若竹の色に速度のやうなもの 河内静魚
【若竹(中七)】
数幹の若竹交る明るさよ 星野立子
雉翔ちしあとの若竹騒ぐなり 石川桂郎
わが伏屋若竹一本貫けり 沢木欣一
雨音を消す若竹の茂りあひ 野澤節子
【若竹(下五)】
夏雲濃し厩の馬に若竹に 飯田蛇笏