【夏の季語=仲夏(6月)】立葵
アオイ科の多年草。日本には、古くから薬用として渡来したといわれている。
気温が上がってくるころに茎を垂直に伸ばし、大ぶりな花をつぎつぎと咲かせる。
「アオイ」という名は日を仰ぐ(あふぐ)ことで日に向かう意味。歴史的仮名遣いは、したがって「あふひ」となる。
梨棗黍に粟嗣ぎ延ふ葛の後も逢はむと葵花咲く 『万葉集』巻十六 三八三四番歌
は、秋に実る「梨」「棗」「黍」などのあとも「逢はん」と恋心を募らせた歌。「葵」は「逢ふ日(あふひ)」がかけられている。
【立葵(上五)】
立葵ゆらぎ峠をはしる水 水原秋櫻子
立葵天香久山隠しけり 八木林之助
【立葵(中七)】
黙礼やみな立葵見てきしが 樫本由貴
【立葵(下五)】
花終る高さとなりし立葵 古川能二
正面を四方にもちて立葵 藤丹青
関節の音立てている立葵 岡田耕治