
【秋の季語(三秋=8月〜10月)】長薯
山野に自生する自然薯(ヤマノイモ)の流通が少ないのに対し、長芋はスーパーでもかんたんに入手可能。自然薯は粘りが強いので、「とろろ」にするとおいしいですが、長芋は水分が多く粘りも少なめなので、千切りにして醤油や鰹節をかけて食べると美味しい。「薯蕷」は「やまのいも」。

ちなみに、「いも」と読む漢字は、主に「芋」「薯」「藷」の三つがある。このうち、「芋」だけが常用漢字なので、一般的には「ナガイモ」は「長芋」と書かれるが、「芋」という漢字はイモ類のなかでも里芋をあらわす漢字であるために、ヤマノイモ(自然薯)をあらわす「薯」や「藷」を俳句では用いるほうがよいのかもしれない。「藷」はもともとサトウキビをあらわし、イモ類のなかではサツマイモ(甘藷)をあらわすこともあるが、同時にヤマノイモ(自然薯)にも用いられる。「薯」は、ヤマノイモ(自然薯)をあらわす字だが、ジャガイモ(馬鈴薯)をあらわすこともある。厳密に漢字とイモが一対一対応しているわけではないですが、「長芋」の場合は、歳時記などでは「芋」の字を避ける傾向が強い。
【長薯(上五)】
長薯を掘るや鋤鍬使ひ分け 永松西瓜
長薯に長寿の髭の如きもの 辻田克巳
【長薯(中七)】
憂鬱の長薯はわが兄なりき 四ツ谷龍