
【冬の季語=三冬(11〜1月)】鮪
キハダマグロの旬は夏ごろだが、クロマグロやビンチョウマグロは冬に旬を迎える。
冷蔵・冷凍技術が存在しない江戸時代以前には「鮪」の人気はなかったが、中期から調味料として醤油が広まると、マグロの身を醤油漬けにするという新たな保存方法(ヅケ)が生まれ、1831年(天保2年)に握り寿司のネタとして使われ出したという。近代以降は冷蔵技術が進歩した事から、赤身の部分の生食が普及した。
【鮪(上五)】
大鮪曳つぱつてゐる女かな 細川加賀
鮪切る木挽唄など口にせむ 野中亮介
鮪より電話来たりて家を棄つ 関悦史
鮪の眼曇りながらに雲まだら 大塚凱
【鮪(中七)】
鰭強く刎ねゐし鮪の腸を抜く 山口誓子
【鮪(下五)】
露領より帰りし船と鮪船 高濱虚子
一生を泳ぎつづける鮪かな 星野恒彦
冷気立つずらり尾鰭のなき鮪 栗林浩
ふうはりとルドンのまなこ大鮪 松本恭子
長き刃をいよいよ受くる鮪かな 鈴木総史
【ほかの季語と】
ゆく年や鯛も鮪も符丁買ひ 鈴木真砂女
冬の夜や逆さに吊りし大鮪 鈴木真砂女