【冬の季語=三冬(11〜1月)】牛鍋
「鍋はぐつぐつ煮える。
牛肉の紅くれないは男のすばしこい箸で反かえされる。白くなった方が上になる。
斜に薄く切られた、ざくと云う名の葱は、白い処が段々に黄いろくなって、褐色の汁の中へ沈む。
箸のすばしこい男は、三十前後であろう。晴着らしい印半纏を着ている。傍に折鞄が置いてある。」(森鷗外「牛鍋」)
【牛鍋(上五)】
牛鍋に一悶着を持ち込めり 村上古郷
牛鍋や性懲りもなく人信じ 岡本眸
牛鍋や或る悲しみに相触れず 上田五千石
【牛鍋(中七)】
教師二人牛鍋欲りて熄むことあり 中村草田男
【牛鍋(下五)】