
【秋の季語=三秋(8月〜10月)】花野
秋の草花が一面にひろがっている野原のこと。
【花野(上五)】
花野ゆくそこに帰るがごとくゆく 池田緑人
【花野(中七)】
ぼろぼろな花野に雨の降りつづけ 草間時彦
はじめより一人花野をどこまでも 櫻井博道
おでん啖べゐて花野へ逃げ戻る 文挾夫佐恵
もう逢わぬ距りは花野にも似て 澁谷道
かほがあるやうな花野のうへの空 川崎展宏
ここはもう花野といへぬ花の数 片山由美子
しろがねの花野の裂け目川と呼ぶ 仲寒蟬
三好達治思ふ花野に鐘打ちて 小林貴子
【花野(下五)】
みづうみの水のつめたき花野かな 日野草城
信濃路や花野のあなたにも花野 阿波野青畝
晩年に未知の道あり花野行く 須賀一惠
飛ばされて帽子よろこぶ花野かな 鷹羽狩行
先頭のよく立ち止まる花野かな 土肥あき子
泣くために溜めておく息夕花野 月野ぽぽな
ひらがなの名のひととゆく花野かな 松本てふこ