【春の季語=三春(2月〜4月)】春の雨

立春」をすぎてから降る雨のこと。「春雨」ともいう。

「三冊子」では、旧暦の正月から二月の初めに(つまり現在の二月から三月にかけて)降る雨を「春の雨」と呼んだ。寒さからあたたかさへと移り変わり、草木が萌え出づるというイメージがある。

春に降る「時雨」は「春時雨」、逆に長雨は「春霖」ともいう。

植物との絡みでいえば、三月以降、「」の咲く時期の雨は「花の雨」。四月ごろの「菜の花」の咲く時期の長雨を「菜種梅雨」ともいう。


【春の雨(上五)】
春の雨街濡れSHELLと紅く濡れ 富安風生
春の雨万死に値する接吻  佐山哲郎

【春の雨(中七)】
もつれつゝとけつゝ春の雨の糸  鈴木花蓑
掌をかへして春の雨となる 日原傳

【春の雨(下五)】
花売は昔ながらや春の雨 籾山梓月
鎌倉に清方住めり春の雨 久保田万太郎
死際にとっておきたき春の雨 高野ムツオ
忘れものみな男傘春の雨 三輪初子
いちにちを母老いたまふ春の雨 千葉皓史
同じ顔ならぶ個展や春の雨 片山由美子


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】



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