日常語でいうところの「日向ぼっこ」。俳句では五音で「日向ぼこ」とすることが多い。
一般的には春でもできる日向ぼこだが、季語としては、冬の日射しを浴びてじっと暖まることを指す。
【日向ぼこ(上五)】
日向ぼこかうしてゐても腹が減る 鈴木花蓑
日向ぼこあの世さみしきかも知れぬ 岡本眸
日向ぼこ死んでゐるかと言はれたり 雪我狂流
日向ぼこの父の頭のかたちかな 清水良郎
日向ぼこ敵に囲まれたるやうに 西澤みず季
日向ぼこ均等にしてよタルトの赤いやつ 山下彩乃
【日向ぼこ(中七)】
につぽんの正しい日向ぼこの家 大和田アルミ
【日向ぼこ(下五)】
死ぬことも考へてゐる日向ぼこ 増田龍雨
けふの日の燃え極まりし日向ぼこ 松本たかし
まなうらは火の海となる日向ぼこ 阿部みどり女
見るかぎり煙草むらさき日向ぼこ 石橋秀野
うしろにも眼がある教師日向ぼこ 森田 峠
妻と会ふためのまなぶた日向ぼこ 伊藤伊那男
たましひのはづれかけたる日向ぼこ こしだまほ
脅迫状したためたるよ日向ぼこ 小津夜景
水滴のやうに蠅をり日向ぼこ 山口遼也