【冬の季語】鎌鼬

【冬の季語=三冬(11-1月)】鎌鼬

「かまいたち」は、つむじ風に乗って現われて人を切りつける妖怪。

しかし痛みはなく、傷からは血も出ないともされる。

鳥山石燕『画図百鬼夜行』(1776年)より「窮奇」(かまいたち)。別物であるが風を媒介とする点から江戸時代の書物では中国の窮奇(きゅうき)と同一視されており、窮奇の訓読みとして「かまいたち」が採用されていた。

「かまいたち」という語は「構え太刀」の訛りであるとも考えられている。「いたち」という語から江戸時代中期以後、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』などに見られるように鎌のような爪をもったイタチの姿をした妖怪として絵画にも描かれるようになり、今日に定着している。

竜斎閑人正澄 画『狂歌百物語』(1853年)より「鎌鼬」

【鎌鼬(上五)】
鎌鼬出さうな笹の揺れ具合 松川洋酔
鎌鼬妻のいぢわるかもしれぬ 広渡敬雄
かまいたち鉄棒に巻く落とし物 黛まどか
かまいたち京都にまぼろしを殖やす 田島健一
鎌鼬跋扈の痕も顔彩る 竹岡一郎

【鎌鼬(中七)】
人を二度切つたる鎌鼬のにほひ 望月 周
これはまだ幼い鎌鼬だろう 月野ぽぽな

【鎌鼬(下五)】
口中に残る塩味鎌鼬 柘植史子


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