【冬の季語】寒紅

【冬の季語=晩冬(1月)】寒紅

もともとは「寒中」に紅花で作られた口紅のこと。今では、この時期に指す化粧品の口紅のことを指すことが多い。

紅を製造するためには大量の水を必要とする。気温が低い時期には当然のことながら雑菌の繁殖なども抑えられ、また生の紅花が痛んだり、腐敗することもなかった。紅には「紅酸」が含まれるが、熱に弱いという性質をもっているため、薬用効果も冬の時期の紅が高かったのかもしれない。

旧暦の12月(臘月)の丑の日、丑の刻につくられたものが最上のものとされ(「丑紅」)、貴重な縁起物として、高く人気を読んだことは、『和漢三才図会』にも描かれている(「寒紅売」)。


【寒紅(上五)】
寒紅や癌の告知をひとり聞く 山田貞子
寒紅をひき言ひ訳はせぬつもり 三宅崇代
寒紅を買ふ妻をみし小路かな 長谷川櫂
寒紅と煙と止まらない噓と 西生ゆかり

【寒紅(中七)】
罪深き日の寒紅を拭き取りぬ 荒井千佐代

【寒紅(下五)】


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