冬の季語

【冬の季語】凍蝶

【冬の季語=晩冬(1月)】凍蝶

寒さで凍えたようにじっとしている「冬の蝶」。

凍つ」「凍てる」も季語なので、「蝶凍つ」「蝶凍てる」と動詞形で用いられることもある。


【凍蝶(上五)】
凍蝶の己が魂追うて飛ぶ 高濱虚子
凍蝶に指ふるるまでちかづきぬ 橋本多佳子
凍蝶のおしろいの顔夢に入り 宇佐美魚目
凍蝶になほ大いなる凍降りぬ 藤田湘子
凍蝶の天与の朱(あけ)を失はず 飯島晴子
凍蝶や声ありとせば呪詛の声 鷹羽狩行
凍蝶に最も短かき紐使ふ 攝津幸彦
凍蝶の花にならむと石の上 遠藤若狭男
凍蝶といふさながらに妻逝けり 伊藤伊那男
凍蝶の棲む石かぎりなく硬し 片山一行
凍蝶や何も映さぬ男の目 三代寿美代
凍蝶に傘さしかけてゐたるかな 岸本尚毅
凍蝶か凍蝶の死か吹かれあり 坊城俊樹
凍蝶をはがしあふ日のふるへる眼 小津夜景
凍蝶のなにも映さぬ目の黒さ 新家月子
凍蝶の骨あるやうにとどまれる 寺澤佐和子
凍蝶といふ肝胆の凍てごこち 岡田一実
凍蝶のよみがへるまで日を溜めよ 堀切克洋

【凍蝶(中七)】
道ふさぎゐる凍蝶のむくろかな 友岡子郷
さうしなければ凍蝶になりさうで 黛まどか
過去の音立てて凍蝶粉々に 小田島渚
ひと揺れの後凍蝶となりにけり 立村霜衣
手品師よ凍蝶を蘇らせて 神野紗希

【凍蝶(下五)】


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 【秋の季語】林檎
  2. 【秋の季語】芭蕉/芭蕉葉、芭蕉林
  3. 【夏の季語】松落葉
  4. 【夏の季語】梅雨に入る
  5. 【秋の季語】銀漢
  6. 【冬の季語】寒晴
  7. 【冬の季語】暮早し
  8. 【冬の季語】十一月

おすすめ記事

  1. 傾けば傾くまゝに進む橇     岡田耿陽【季語=橇(冬)】
  2. 秋草のはかなかるべき名を知らず 相生垣瓜人【季語=秋草(秋)】
  3. 若き日の映画も見たりして二日 大牧広【季語=二日(新年)】
  4. 鹿や鶏の切紙下げる思案かな 飯島晴子
  5. 雲の上に綾蝶舞い雷鳴す 石牟礼道子【季語=雷鳴(夏)】
  6. さういへばもう秋か風吹きにけり 今井杏太郎【季語=秋風(秋)】
  7. 体内の水傾けてガラス切る 須藤徹【無季】
  8. 俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第15回】能登と飴山實
  9. 【連載】歳時記のトリセツ(7)/大石雄鬼さん
  10. 水中に風を起せる泉かな 小林貴子【季語=泉(夏)】

Pickup記事

  1. 【冬の季語】蒲団(布団)
  2. 【読者参加型】コンゲツノハイクを読む【2022年2月分】
  3. 【冬の季語】短日
  4. 【連載】加島正浩「震災俳句を読み直す」第2回
  5. 【春の季語】恋猫
  6. 赤福のたひらなへらもあたたかし 杉山久子【季語=あたたか(春)】
  7. さくら餅たちまち人に戻りけり 渋川京子【季語=桜餅(春)】 
  8. 初春の船に届ける祝酒 中西夕紀【季語=初春(新年)】
  9. 山又山山桜又山桜 阿波野青畝【季語=山桜(春)】
  10. 神保町に銀漢亭があったころ【第49回】岸本尚毅
PAGE TOP