【冬の季語=晩冬(1月)】寒林
「冬枯」の林のこと。
葉を落とした木々が立ち並ぶ様子は、いかにも冬の深まりを感じさせる。
【寒林(上五)】
寒林やとつくに言葉消えやすく 石橋秀野
寒林に向ひ獄舎は扉を閉す 福田蓼汀
寒林に一語の冴えをのこし去る 三谷昭
寒林をでて雉子撃ちの貌ふたつ 村上しゆら
寒林に入り散策は思索へと 伊藤伊那男
寒林に寒林の空映す水 野中亮介
寒林にゐて一木と思ふ身よ 上田日差子
寒林やとらへて細き子の体 岩田由美
【寒林(中七)】
野の入日燃えて寒林の道をはる 水原秋櫻子
父の如き寒林のあり去り難し 石川昌子
鳥の眼をもて寒林を出づるなり 三田きえ子
人通り寒林に道あることを 稲畑汀子
鳥が知る 寒林の火事ひろがるを 松本恭子
【寒林(下五)】
黒板を一気に拭きて寒林へ 山口昭男
標無く標求めず寒林行く 髙柳克弘
【その他の季語と】
寒林のごとく針挿し針祭る 後藤比奈夫